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首 (2023):映画短評

(2023)

2023年11月23日公開 131分

首
(C) 2023KADOKAWA (C) T.N GON Co.,Ltd

ライター6人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4

ミルクマン斉藤

景気よく首が飛びまくります。

ミルクマン斉藤 評価: ★★★★★ ★★★★★

いやあ、タイトル通り、映画史上超級の首チョンパ映画だろう。それはもはやギャグ同然。本能寺の変に至る過程を描いているんだが、そこに武士の衆道(要するにホモセクシュアル)を絡めてきたり、最近、ドラマや映画で新しい光が当てられまくっている明智光秀(西島秀俊、ただし、信長への思いは『レジェンド&バタフライ』と少しく似ている)はじめ、尾張弁でまくしたて、家臣にも残虐な行為を平気でやってのける史上最狂の信長(加瀬亮)など、女っ気ひとつない作劇も北野らしい。木村祐一演じる曽呂利新左衛門も相当にいい味。ま、たけし演じる秀吉は齢取りすぎな感じはするが。

この短評にはネタバレを含んでいます
轟 夕起夫

“世界のキタノ”という冠を外して、気楽に観てみよう!

轟 夕起夫 評価: ★★★★★ ★★★★★

様々なエスタブリッシュメントに対して“LOVE & HATE”の感情を抱えつつ、その本質を探ってゆく北野武の作法。今回は先行する戦国時代が舞台の映画やドラマ、“本能寺の変”を描いた多くのスタンダードな作品スタイルに物申している。

一見『アウトレイジ』型の群雄割拠の権力闘争劇だが、『みんな〜やってるか!』(95)や『龍三と七人の子分たち』(15)で試されていたコントの羅列が盛り込まれ、時代劇へのシニカルな視点も散見する。つまりは暴力や死が、笑いのための“フリ”として機能しているのだ。豪勢なキャストの中では下克上の世を転がってゆく中村獅童が一際いい。たけし扮する同じ百姓出の秀吉と比すべき役柄に。

この短評にはネタバレを含んでいます
くれい響

北野武×ビートたけし映画の集大成

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

「どいつもこいつも、キ×ガイだ」な戦国の乱世を、黒澤明というより『戦メリ』『御法度』な大島渚イズムを踏襲しつつ、『みんな~やってるか!』ばりのショートコントを交えた、北野武×ビートたけし映画の集大成。たけし不在のアニメ『マンザイ太閤記』を思い起こさせるバラエティ感もありつつ、単なる悪趣味・下世話ノリに終わっていない。その熱量は、トゥーマッチながらR15+な芝居を魅せる北野組おなじみのキャストからも伝わり、信長不在シーンとの緩急の差も興味深い。そんななか『3-4X10月』以来組んできたカメラマン、柳島克己を崔(洋一)組で知られる浜田毅に変更する挑戦もしており、これがより大作感を醸し出している。

この短評にはネタバレを含んでいます
相馬 学

自由過ぎる、狂気の戦国絵巻

相馬 学 評価: ★★★★★ ★★★★★

 本能寺の変を核とするおなじみの戦国ストーリーも北野監督の手にかかると、予測不可能の面白さが。

 あっけない死という北野流バイオレンスは刀を主要な武器にすることでざっくり感を増す。一方で、監督自身が演じる秀吉と側近たちのやりとりはユーモア全開。“らしさ”が詰まっている。

 何よりの“らしさ”は、腹に一物を抱えた人々の群像。時代考証を気にしていないのは実年齢にそぐわない武将たちのキャスティングからも明らかだが、そこに同性愛の要素も加えて、さまざまな欲望と思いを交錯させる。狂気の戦国絵巻として楽しんだ。

この短評にはネタバレを含んでいます
村松 健太郎

秀吉という冷めた目線の持ち主

村松 健太郎 評価: ★★★★★ ★★★★★

戦国絵巻を北野武らしい味付けをした一品。文字通りの”愛憎劇”が展開されます。特に”愛”の部分はちょっとない描写が続くので新鮮です。「侍の好いた惚れた腫れた」についての物語になっていて、よくよく思い返すとほとんど男優だけの物語になっていました。この構成、北野武が映画にはまるきっかけを作った大島渚監督作品を思い起こさせました。百姓出身という豊臣秀吉の特異な出自に関しては様々な作品で色々な活かされ方がされていますが、「侍の好いた惚れた腫れた」に主眼を置いた本作においてはその事情を非常に冷めた目で見る存在として効果的でした。

この短評にはネタバレを含んでいます
斉藤 博昭

俳優たちのリミッター外した怪演の華やかさ。とくに加瀬亮!

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

タイトルを象徴するような冒頭のカット。いい感じのグロさが予告するその後の展開は、狂っていきそうで思いのほか、どっしりと落ち着き払った印象。ゆえに北野武映画の中でも丁寧でわかりやすい。過去がセピア色の映像になったりして、余計な混乱も避けられている。

いい意味での暴走は、俳優たちに託され、中でも加瀬亮の織田信長の振り切れぶりは、面食らうほど。むしろ爽快レベルの域に達している。

男同士の濃密な愛情ドラマが通底するのも北野作品らしいが、今回は直接的すぎる描写で畳み込んでいく。何かと話題のジェンダーバランスなど一切考慮せず、重要な女性キャラがほぼ出てこないのも作品にとってはシンプルで潔いような。

この短評にはネタバレを含んでいます
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