シネマトゥデイ

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斉藤 博昭

斉藤 博昭

略歴: 1963年神奈川県藤沢市生まれ。高校時代は映画研究部に所属。1997年よりフリーランスのライターとして映画誌、女性誌、情報誌、劇場パンフレット、映画サイトなどさまざまな媒体に映画レビュー、インタビュー記事を寄稿。得意ジャンルはアクション、ミュージカル。最も影響を受けているのはイギリス作品です。Yahoo!ニュースでコラムを随時更新中。

近況: LAの『フェアウェル』ルル・ワン監督、ロンドンの『カセットテープ・ダイアリーズ』グリンダ・チャーダ監督に、Skypeインタビュー。ともに外出規制などある中、前向きに明るく話してくれて、一刻も早い日常生活の復活を祈るのみ。

サイト: https://news.yahoo.co.jp/byline/saitohiroaki/

斉藤 博昭 さんの映画短評

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  • グレース・オブ・ゴッド 告発の時
    子供への性的虐待。その無自覚を静かに、どっしりと訴える
    ★★★★★

    題材が衝撃的であるほど、そして伝えたい情熱が大きいほど、作品も自ずと激しさや劇的さを伴うものだが、今作はオゾン監督が冷静で淡々としたアプローチに徹し、それが静かな力強さにつながった。じわじわと怒りの感情が心を支配していく感覚。

    子供時代に受けた性的虐待に対し、各人物それぞれの対応が胸に突き刺さる。沈黙することで罪の意識を認識し、勇気をふりしぼって訴えに出る姿は感動的だが、それ以上に、ひたすらトラウマとして向き合い、人生に諦めを感じた者のリアルも描き、罪の重さを実感させる。感情の「揺れ」もすくいとった演出/演技に感心。被害者の若い息子たちがどう考えるのか。そこまで踏み込むオゾンの本気に平伏す。

  • オールド・ガード
    設定もアクションも入り込みやすく、主人公たちの関係性も新しい
    ★★★★

    主人公たちと歴史の重なりを「もう少し観たい」との意見も聞くが、現在のドラマに集中したことで、スーパーヒーロー的な空想面が弱まり、リアルなアクション映画として迫ってくる。この選択は、正解かと。迫力と華麗さを極めたシャーリーズを中心に、アクション場面は演出・編集で見やすく設計され、好印象。後半はその動きに運命と向き合う悲壮感も加味され、時折、胸を締めつける。

    愛する者すべてに先立たれ、永遠に苦痛が消えないなど、不死の宿命との葛藤は、押し付けがましくなくサラリと物語に絡め、一瞬登場する人物のセリフが効果的だったりと、脚本も巧妙。仲間の絆と愛の関係性も、この手の作品にしては新しく、続編を観たくなる。

  • リトル・ジョー
    花粉が人間の心を操る、この不思議テイストと胸騒ぎは快感!?
    ★★★★

    美しい花を栽培する、真っ白で整然とした研究施設。シングルマザーと息子、同僚のもどかしい人間関係…と、つかみの前半こそ、スタイリッシュな映像+大人のドラマを観ている心地良さを与えつつ、次第に何か恐ろしいものが侵食してくる感覚。この「じわじわ来る」展開と、ホラーやSFに近いドラマの融合が妙に快感。

    冒頭から親子が寿司を食べてるが、気づけば音楽は「雅楽」「歌舞伎風」と日本人作曲家によるもの。これも、じわじわな恐怖と異様にマッチ。

    ウイルスを思わせる花粉や、同調圧力など今の社会とリンクするテーマも感じられるけど、シンプルに不思議映画と受け止めて、その世界に入り込めば、めくるめく陶酔を味わえるはず!

  • ダークナイト
    ホアキンのジョーカーと重ねる「後付け」の歓びも大傑作の証明
    ★★★★★

    観終わった瞬間、あれほど胸をかき乱されたのに、このまま映画の快楽に溺れたままでいたい…。そう感じさせる作品は珍しい。闇の騎士というタイトルが示すとおり、描写もキャラクターも徹底してハードでダーク。前作『ビギンズ』に多少残っていたアメコミ映画らしい荒唐無稽さは一気に影を潜め、ゴッサムシティでの犯罪と人間模様が、われわれが生きる日常と地続きで伝わる。ゆえにヒースのジョーカーも狂気と冷静のバランスがリアルな恐怖だけでなく、刹那的な哀しみを伴い、後の『ジョーカー』と重ね、その心情を検証したくなる。これが映画の歓びか。IMAX70mmカメラ撮影の部分が、重厚でクラシカルな味わいなのも、これまた極上体験。

  • パブリック 図書館の奇跡
    立てこもり映画のカタルシスと感動に、本の大切さを優しくプラス
    ★★★★★

    人質事件や抗議など「立てこもる」映画は内部の結束に感情移入しやすく、変にテンションが上がる。今作もその好例で、場所が公共図書館なのが斬新。ホームレスたちの公共施設利用がどこまで許されるか? 日本も地続きの問題として身近に感じつつ、本による知識があらゆる人に役立つ時があるという図書館の意義をサラリと提示。「本は命の恩人」というセリフがグッとくる。悪役を含め想定どおりの流れも心地よし。

    自らをスターにした名作での「図書室」を、監督作で「図書館」でセルフオマージュするエステベスは主役なのに「目立ちすぎない」奥ゆかしさが好感。「外は極寒」という重要設定がもう少し映像で伝わったら、なお良かったけど。

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