シネマトゥデイ

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ミルクマン斉藤

ミルクマン斉藤

略歴: 映画評論家。1963年京都生まれ。デザイン集団「groovisions」の、唯一デザインしないメンバー。現在、京都・東洞院蛸薬師下ルの「三三屋」でほぼ月イチ・トークライヴ「ミルクマン斉藤のすごい映画めんどくさい映画」を開催中。雑誌「テレビブロス」「ミーツ・リージョナル」「キネマ旬報」等で映画コラムを連載中。

ミルクマン斉藤 さんの映画短評

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  • 人生はビギナーズ
    いざとなれば「初心者」として人生いつでも生きなおせます。
    ★★★★★

    マイク・ミルズの実体験だという父親のエピソードの“引き”があまりに強いのでジェンダーをめぐる映画かと思いきや、そう断ずるのはちと早い。実はもうひとつ軸となる物語があるのだ。カミングアウトから5年後、父はあの世へ旅立つ。喪失感とともに訪れる新しい恋。時制の異なる三つのできごと(少年期の記憶、父の末期、現在の自分)が頻繁に交錯するが、そこから浮かび出るのは’50年代アメリカの裏の顔。父はゲイであることを、母はユダヤの血を引くことを隠さずには暮らせなかった時代のポートレイトだ。父母が強いられた苦悩に比べ、僕たちの世代の煩悶はなんと脆弱なことか!それが恋をためらう主人公をぐいぐいと後押しするのだ。

  • ラブ・アゲイン
    ものぐるほしく、をこがましきは恋なりけり。
    ★★★★★

    ラブコメというジャンルが基本的に、色恋という人間の性(サガ)を嗤いつつも慈しみ愛でるものとすれば、これほどの作品はそう現れるもんじゃない。主要な登場人物は10代~40代の男女9人、このアンサンブル・キャストが実に精妙。「クレイジーで馬鹿げた愛」に身悶える、愚かしくも誠実な“恋の奴隷”たちに等しく愛を注いでいるのがひしひしと感じとれる演出・脚本が最高。キャメラワークも的確かつセンス抜群。相当にグラフィックであるうえ、台詞以前に画だけで笑えるという芸当を見せてくれるのだ。ことにキャレル+ムーア+トメイの保護者面談と、『ラ・ラ・ランド』に先駆けるストーン+ゴスリングの初めての夜のシークェンスは絶妙!

  • さすらいの女神(ディーバ)たち
    喜劇・女は男のふるさとヨ。
    ★★★★★

    カサヴェテス『チャイニーズ・ブッキーを殺した男』へのオマージュよろしくシャツの胸襟を大きく開けた格好で業界を追放された元TVプロデューサーをM.アマルリックが自作自演。彼が率いるのはケバいメイクに贅肉たっぷり、肌の衰えを隠そうともせず芸もユルユルだが、なぜかおおらかな輝きを放って劇場は大入り満員、ことに女性客を魅了する「ニュー・バーレスク」のダンサーたち。過去の悪行が祟って起死回生を狙うパリ公演をいきなりキャンセルされ、自らの不甲斐なさに落ち込む男を救うのは…。「しょせん男なんて、女性に励まされ癒されることで毎日をどうにか生きてる情けな~い生物なのだ」と我々♂は思い知らされるのである。

  • スコット・ピルグリムVS. 邪悪な元カレ軍団
    現実世界と繋がる通過儀礼としてのゲーム対戦。
    ★★★★

    ゲームの映画化は数あれど、ゲームあたりまえ世代の“世界の見かた”をリアルに示した映画の嚆矢か。M.セラ扮する主人公はそこそこなバンドのベーシスト(作曲はベック、音楽監督はN・ゴッドリッチ)。彼に襲いかかるのは一目惚れした女性の元カレ軍団(元カノも双子もいる)。格闘ありスケボーあり音楽対決ありのバトルは最大公約数的な対戦ゲームの仕様、擬音や小ネタCGも多用して高速かつ濃密だが、体裁をひっぱがせば純情一途なド青春の恋バナだ。ただ納得できないのは惚れた相手ラモーナより中国系の今カノ(エレン・ウォン)のほうが(性格的にも)ずーっと可愛いこと。E.ライトだってそっちに萌えてるふうなのが可笑しくもある。

  • ニシノユキヒコの恋と冒険
    あけすけで現実的な女性たちの世界にも隕石は落ちてくる。
    ★★★★★

    井口奈己の映画は極めて本流のセックス・コメディだ。ヤるヤらないの話でなく、この世は本質的に男と女の闘争であるという意味で。しかし本作の「核」となるニシノはどうも実体がはっきりしない。彼自身は空洞であって、タイプの異なる錚々たる女性たちの内に眠った欲望をさらけ出す「装置」のような存在に過ぎないのだ。そんな彼女たちのセックスを、ニシノと肉体関係のない稀有な女性・阿川佐和子が、まだ男女の機微など判らぬ15歳の中村ゆりかに語り伝える、という構成が風のような男の妖精っぽさを増強し、摑みどころのない不定形ぶりをより強調する。風貌といい声質といいセクシーなのにどこか頼りない竹野内豊がニシノそのもの!

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