優れた心理スリラーかと思ったらそれ以上だった

2021年1月3日 猿渡 由紀 Swallow/スワロウ ★★★★★ ★★★★★

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Swallow/スワロウ

映画の始めの幸せそうなシーンからも、静かに、じわじわと悪い予感を覚えさせ、恐怖感を高めていく手法は、とても効果的。だが、もっとすばらしいのは、一風変わった心理スリラーかと思わせておいて、途中から、アメリカにおける中絶の複雑さや、性犯罪が与える傷がどんなに長く、広範囲に及ぶのかなど、女性についての問題に触れていくことだ。これは、自己肯定感を抑圧される環境に置かれてきたひとりの女性が、ついに自分に向き合う、成長とエンパワメントのストーリー。その辛く、苦しい心のジャーニーを、セリフが少ない中でも表現したヘイリー・ベネットに大拍手。セットデザインと音楽も、視覚、聴覚を刺激する。

猿渡 由紀

猿渡 由紀

略歴:東京の出版社にて、月刊女性誌の映画担当編集者を務めた後、渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスターのインタビュー、撮影現場レポート、ハリウッド業界コラムなどを、日本の雑誌、新聞、ウェブサイトに寄稿する映画ジャーナリスト。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。

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