シネマトゥデイ

シネマトゥデイ

平沢 薫

平沢 薫

略歴: 映画ライター。視覚に訴えかけるビジュアルの派手な映画がお気に入り。「SCREEN」「キネマ旬報」「SFマガジン」「映画.com」等で執筆。著作に「キングスマン:ゴールデン・サークル」ノベライズ、「グレートウォール」ノベライズ、「X-ファイル 2016」ノベライズ、「フランケンウィーニー」ノベライズ、「「ターミネーター:新起動/ジェニシス ビジュアルガイド」翻訳など。ウェブで映画やTVドラマのニュースを追いかけ中

近況: AmazonプライムのTVシリーズ「ザ・ボーイズ」を視聴中。原作コミック作者は「プリーチャー」「ヒットマン」のガース・エニス。"もしスーパーヒーローと呼ばれる人々がただの異能者で、彼らの所属する組織の目的が利益追求だったら"という世界を現代的かつ大人の視点で描いて、毒とブラックな笑い満載。TVシリーズ版クリエイターには、TV「プリーチャー」にも参加してた、「ソーセージ・パーティー」原案&製作のセス・ローゲン&エヴァン・ゴールドバーグが参加してる。

平沢 薫 さんの映画短評

全686件中1~5件を表示しています。 Next »
  • アス
    まずタイトルからメッセージが伝わってくる
    ★★★★★

     タイトル「US」は、「私たち」であり「USA」の頭二文字。主人公たちが自分たちにそっくりの姿をした人々に正体を尋ねると、彼らは「私たちはアメリカ人だ」と答える。そのように、今の世界の社会問題が描かれていく。と、サスペンス自体を楽しむ前にメッセージが気になってしまうのは、監督・脚本が「ゲット・アウト」のジョーダン・ピールだから、こちらが前作同様のテーマ性を期待してしまうせいでもあるだろう。監督も、それを見越してタイトルをつけたのに違いない。もちろん自分そっくりの何かに遭遇する恐怖はたっぷり。「ゲット・アウト」同様、ヒネリあり。一家の幼い息子がなぜ仮面を被るのか、その理由を考えるのも興味深い。

  • 聖なる泉の少女
    水の冷たさ、清浄さに浸らせてくれる
    ★★★★★

     画面から、冷たく清浄な冷気が静かに漂ってくる。雪の降る北の山地、山に見守られた湖、その水面の滑らかさ。泉の水の冷たさ、清らかさ。その水の清浄さに浸っているだけで、伝わってくるものがある。
     ストーリーは一応あるが、人々を癒す水が湧き出る聖なる泉、その泉を世話する老いた父親と娘、泉の力の減衰、という民話的古典的なもので、セリフも説明も最小限まで切り詰められている。その分、風景や建築物、生活用品、そこにあるすべての物が、雄弁に語りかけてくる。それに耳を澄ましながらこの世界の冷たさと清浄さを味わい、その心地よさに浸っていると、それが今、ここにはないということが静かに迫ってくる。

  • トールキン 旅のはじまり
    若き日のトールキンには"旅の仲間"がいた
    ★★★★

     映画「ロード・オブ・ザ・リング」の原作「指輪物語」を、トールキンはなぜ書いたのか。本作はトールキンの半生を「指輪物語」第1巻の題名である"旅の仲間"という観点から見ることで、その理由を探っていく。一般的に彼の生涯は妻との関係や教授時代の交友関係を中心に描かれることが多いが、本作は学生時代の友人たちとの絆を中心に描く。その絆が「指輪物語」で指輪を捨てる旅に出る"旅の仲間"に直結していくのだ。 
     さらに、トールキンの目に映ったものが、後に彼が描く小説に姿を登場する姿に変貌していくさまが、映像で表現されていく。そんな「指輪物語」のファンなら嬉しい光景がたっぷり詰まっている。

  • ディリリとパリの時間旅行
    ベル・エポックのパリの優美とオスロ監督の色彩に酔う
    ★★★★★

     優美で華麗なベル・エポックのパリの雰囲気、アール・ヌーヴォーの美学が、アニメだからこそ可能な"リアル"と"フィクション"のユニークな掛け合わせによって描れる。
     登場人物たちは、その時代の実在の人物たちで、ピカソやマティス、ニジンスキーやイサドラ・ダンカン、オスカー・ワイルドやサティ、キュリー夫人やパスツールまでが次々に登場。家具などのアール・ヌーヴォーの装飾物も実在物で、美術館の所蔵品から監督が選んだもの。そして、それらの配置と世界の色彩は「キリクと魔女」のミッシェル・オスロ監督独自のもの。そのようにして、ベル・エポックのパリの、"再現"ではなく"香りの抽出"によって陶然とさせてくれる。

  • ロケットマン
    音楽のあの不思議な力が、目に見える形になる
    ★★★★★

     音楽好きならきっとこの映画が好きになる。ライブ会場で発せられる音に浸っているときに、ふと全身を包むあの不思議な浮遊感が、そのまま映像になったシーンがある。そんなふうに、音楽の力を目で見える形にした場面が何度もあるのだ。しかも、歌を歌うのは主人公だけではない。歌が、作者を超えて、みんなのものになっていく。それもまた音楽の力だということが伝わってくる。
     エルトン・ジョンの伝記映画であり、紆余曲折あったユニークな人物の興味深い物語でもあるが、同時に、個人の物語を超えて、愛されることを願ったひとりの子供の成長の物語にもなっている。それをタロン・エガートンが彼らしい動きと彼自身の声で演じている。

全686件中1~5件を表示しています。 Next »
[PR]
おすすめ特集
映画アクセスランキング
  • Loading...
»もっとランキングを見る«
楽天市場
スポンサード リンク