シネマトゥデイ

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猿渡 由紀

猿渡 由紀

略歴: 東京の出版社にて、月刊女性誌の映画担当編集者を務めた後、渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスターのインタビュー、撮影現場レポート、ハリウッド業界コラムなどを、日本の雑誌、新聞、ウェブサイトに寄稿する映画ジャーナリスト。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。

猿渡 由紀 さんの映画短評

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  • ステージ・マザー
    愛の強さを語り、多様性を祝福する
    ★★★★

    サンフランシスコのドラァグクラブのオーナーが急死し、テキサスに住む保守的な母親が相続するはめになるという設定からだいたい想像できるとおりの展開。所々にちょっと都合が良いなと感じる部分もなくはないが、全編を通して温かさに満ちている。とりわけ後半は、母がわが子に対してもつ愛の強さに感動させられた。ひとつの生き方をしてきた女性が、高齢になってから広い世界を知って心を開いていくというのもポジティブ。音楽とパフォーマンスがたっぷりあるのも楽しい。見終わった後に明るい気持ちになれる、多様性を祝福する物語だ。

  • ベイビーティース
    お決まりのパターンではなく、複雑で深い
    ★★★★★

    死が迫った中での悲しい恋物語は数多くあるものの、今作はお決まりのパターンとほど遠い。主人公ふたりの間にあるのがピュアな恋なのかどうかが、良い意味で曖昧なのだ。多感な年齢な上、病を抱えていることから時に無謀になるミラにとっては好奇心と冒険心なのかもしれないし、真っ当な職も住処も持たないモーゼスは、精神科医であるミラの父が処方した薬を狙っているのかとも思わせる。両親が、娘にモーゼスは絶対ふさわしくないと思いながらも次第に受け入れていく様子や、モーゼスがドラックを使うのを批判する一方で実は自分たちも心の安定のために薬を使っているという矛盾も、ストーリーに説得力を与える。

  • パーム・スプリングス
    サムバーグ演じるリラックスした主人公が魅力的
    ★★★★★

    同じ日が繰り返されるという設定のコメディは、「恋はデ・ジャブ」から最近の「ハッピー・デス・デイ」まで過去にもあるが、今作も独立したチャーミングな映画に仕上がっている。一番の強みはアンディ・サムバーグ演じる、リラックスした主人公。明日もまた同じという事実を受け入れ、抵抗せずに生きているところが新鮮なのだ。「Saturday Night Live」出身の彼は、いつものことながらフィジカルなコメディも最高。後半の流れには定番的な部分もちらつくが、サムバーグとお相手役クリスティン・ミリオティの魅力で引っ張る。砂漠を背景にしたカラフルなビジュアルも楽しい雰囲気をプラスする。

  • カポネ
    哀れな感じはしても、悲しみは感じさせない
    ★★★★★

    最も危険な男の晩年を語る今作は、ほとんどが頭の中で起こる。認知症を抱えるカポネは、さまざまな幻想を見ては怯え、パニックする。トイレもきちんと行くことができなくなった彼に、昔の威厳とカリスマはまったくなく、たしかに哀れな感じはするが、悲しみや同情を覚えさせることはしない。幻想の中で展開するホラーをひたすら見せられるだけで、奥に入っていくことをしないため、引き込まれないのである。ジョシュ・トランクはそもそもそれを求めていなかったのかもしれないが、トム・ハーディは、いつものように声もすっかり変え、完全に役になりきっているだけに、もっと心を揺り動かしてほしかったと思ってしまう。

  • バッド・ヘアー
    社会的なことにも触れるB級ホラー
    ★★★★★

    ストレートの長い黒髪が出てくる怖い話は、日本人ならば馴染みのあるところ。今作はそれを80年代のL.A.に住む黒人女性でやってみせる。もちろん、普通、黒人女性の髪はストレートではない。だが、テレビ局に勤める女性の主人公は、出世するため、高いお金を払って、一般的基準で「美しい」とされる髪を手に入れるのだ。日本でも髪は女の命と言われるように、国境や世代を超えて女性と髪の関係は深いが、とりわけ黒人女性においては根強い問題で、最近でもしばしば語られてきている。男女差別や職場における不適切な関係などの事柄にも触れるが、社会問題とホラーを最高な形で融合して見せた「ゲット・アウト」にはなりきれなかった。

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