作り込まれたカットに息を呑む

「異食症」というテーマといい、色彩美を捉えたポスターヴィジュアルといい、カナダ映画のような低温といい、なかなかのインパクトを放つアメリカ=フランス合作。ヒロインが“飲み込む”行動だけでなく、冒頭のバックショットから、なぜか清々しいラストからのエンドロールまで、長編デビューとは思えぬカーロ・ミラベラ=デイヴィス監督の丁寧に作り込まれたカットに息を呑むだろう。夫のモラハラや家庭内の鬱屈などから湧き上がった危険すぎるフェチからフェミが芽生える若妻を好演したヘイリー・ベネット映画としても見応えアリ。ただ、過去の自己のトラウマと向き合う後半にかけての展開は賛否分かれるところ。