変わりゆくチベットの今を映し出す素朴な家族の物語

2021年1月23日 なかざわひでゆき 羊飼いと風船 ★★★★★ ★★★★★

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • ツイート
  • シェア
羊飼いと風船

 舞台は雄大な自然に囲まれたチベットの片田舎。昔ながらの伝統と習慣を頑なに守り続ける牧畜民の一家が、徐々にしかし確実に押し寄せる近代化の波によって変化を迫られていく。興味深いのは男性と女性の意識や視点の違い。世の東西を問わず、古い伝統というのは往々にして男性に有利な仕組みで出来ており、その恩恵に与っている男性は己の優位な立場にほとんど無自覚だ。本作では望まぬ妊娠を発端として、男女関係の不平等に気付いてしまった妻が、夫や息子が善意で押し付けてくる前時代的な価値観に反旗を翻す。人間の生と性を大らかなユーモアで包みながら、変わりゆくチベットの今を牧歌的な抒情性で捉えた佳作だ。

なかざわひでゆき

なかざわひでゆき

略歴:日本大学芸術学部映画学科卒、同学部大学院卒。映画・海外ドラマのライターとしてキャリア30年。TVガイド誌やオンライン情報サイトなどを中心に幅広く執筆活動中。雑誌「スカパー!TVガイドBS+CS」(東京ニュース通信社刊)で15年続くコラム“映画女優LOVE”をはじめ各テレビガイド誌で特集記事やコラムを執筆。著書は「ホラー映画クロニクル」(扶桑社刊)、「アメリカンTVドラマ50年」(共同通信社刊)など。海外取材経験も多数。旧ソ連のモスクワ育ち。

近況:最近は今さらながらK-POPのボーイズバンドにドハマり中。一番の御贔屓はMCNDですが、NCTやTREASUREも大好き。もちろんBLACK PINKとかITZYとかEVERGLOWとかガールズにも夢中です。

サイト: http://eiga3mai.exblog.jp/

なかざわひでゆきさんの最近の映画短評

もっと見る

[PR]