シネマトゥデイ

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中山 治美

中山 治美

略歴: 茨城県出身。スポーツ紙記者を経てフリーの映画ジャーナリストに。GISELe、日本映画navi、goo映画、スカイパーフェクトTV(ぴあ)、朝日新聞webサイトおしごとはくぶつかん情報館内で「おしごと映画」を執筆中。いつの間にやら映画祭を回るのがライフワークとなっている。お気に入りはオランダ・ロッテルダム国際映画祭とスペインのサンセバスチャン国際映画祭。

近況: 本サイトで「映画で何ができるのか?」と「ぐるっと!世界の映画祭」を連載中。また、編集に携わった塚本晋也監督・著「『野火』全記録」(洋泉社)、DVDマガジン「石原裕次郎シアター」(朝日新聞社)が発売中デス。ライフワークの旅の記録をまとめたブログはこちら。https://tabisutekaisyu.amebaownd.com

サイト: https://www.oshihaku.jp/series/00007

中山 治美 さんの映画短評

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  • どこへ出しても恥かしい人
    心のビタミン、友川カズキ
    ★★★★

    友川のドキュメンタリー映画は『花々の過失』に続いて2作目。ライブと競輪と酒に明け暮れる日常を追った内容は重なる部分も多い。そうと分かっていても存在感に圧倒され、”ありのまま”の友川は裏切らない面白さがある。ただ油断していると、酔拳のごとく放たれる友川語録の数々に脳天を撃ち抜かれるから注意だ。中でも「人生何かに酔わなきゃ、突っ走れない」。友川の場合は競輪で熱中するものがあるからこそ日々を乗り切れるということだが、理不尽なことが堂々と政治の場でまかり通る今、酒でもゲームでも何かに酔ってなきゃやってらんないという意味にも取れる。深い。ちなみに本作の撮影は2010年。ブレずに生きる人の言葉は、強い。

  • 死霊魂
    執念と怒りのドキュメンタリー
    ★★★★★

    監督は度々、中国の反右派闘争をテーマに描く。創作意欲を掻き立てるのは何か? 監督の手持ちカメラによる映像が物語る。再教育収容所があったゴビ砂漠に、風雨にさらされ剥き出しになった人骨の夥しい数。劣悪な環境で病死や餓死した人たちだ。歴史的には彼らの名誉はのちに回復されたことになっているが、それがいかに気休めでしかないか。臭い物に蓋をし続けてきた権力者の横暴を丹念な取材で詳らかにする。監督の初長編劇映画『無言歌』を見た人なら、史実を忠実に再現した内容であることにも本作で気づくだろう。確かに8時間越えの上映時間は鑑賞に気合が必要だ。しかし世界が右翼化する中、監督からの警鐘と思えば時間を忘れること必至。

  • グリーン・ライ ~エコの嘘~
    グレタさん批判の構図がここに!
    ★★★★

    あたかも環境に配慮しているように装う”グリーンウォッシング”企業を監督が体当たり取材した、M・ムーア監督スタイルのドキュメンタリー。一見、ムーア監督ほどの過激さはないように見えるが、その道の専門家で企業への追及が手厳しいジャーナリストを同行し、したたかに当事者たちに接近しては真実を暴いていく。見えてくるのは、利益のためなら手段を選ばぬその姿勢。16歳の環境活動家グレタ・トゥーンベリさんを躍起になって批判する人に大物が多い理由が見えてくるようだ。監督も嫌気が差すほど同行ジャーナリストの商品チェックは厳しいが、無意識に消費を繰り返している我々に多くの気づきを与えてくれるに違いない。

  • 1917 命をかけた伝令
    「走れメロス」+『野火』
    ★★★★

    仲間の命を守る為、期限までに使命を全うするシンプルなストーリーは「走れメロス」。最新技術の粋を集めた主観的視点が中心のワンシーンワンカット風映像は、塚本晋也監督『野火』を彷彿とさせる。根底にあるのは今も身近にある戦争の脅威を実感できない世代に、強引にでも戦場を体感させたいとする思い。ただ『野火』と大きく違うのは、より臨場感を与えるのに重要な聴覚と臭覚が足りない。静寂の中どこからか弾丸が飛んでくる不吉な予感とか、仲間の遺体をグニャと踏んでしまったことの嫌な気持ちとか。そういうシーン自体はある。だが大音量の音楽が効果を半減させ、戦争がドラマチックになってしまったのが惜しい。

  • 淪落の人
    「最も個人的なことが最もクリエイティブなことだ」の典型
    ★★★★

    オスカーでポン・ジュノ監督がM・スコセッシ監督から学んだ事として引用したこの言葉。本作も、母親が事故で車椅子生活者だった監督の体験に起因するという。その生い立ちが社会を別角度から見る目を養い、生きる意味を問う思考を育んだのだろう。人生の岐路に立っている人たちが希望を見出すまでという普遍的なテーマを真正面から堂々と、緻密かつ丁寧な人間描写で魅せる。特に登場人物たちの心を照らすかのような光や風を意識した映像が美しく、雨傘革命以降、殺伐とした香港に見慣れてしまっただけに新鮮。そこにも本当の香港の姿を記録に留めておきたいという監督個人の思いが込められているようで、胸が熱くなるのだ。

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