シネマトゥデイ

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山縣みどり

山縣みどり

略歴: 雑誌編集者からフリーに転身。インタビューや映画評を中心にファッション&ゴシップまで幅広く執筆。

近況: リオ五輪に向けて、イケメンなアスリートを探す仕事をオファーされてしまった。最近はモデル活動してるアスリートも多いのにびっくり。

山縣みどり さんの映画短評

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  • スキャンダル
    #MeTooムーブメントの出発点がここに!
    ★★★★

    TV界に蔓延するセクハラと戦った女性の勇気を称えたい作品。キャリアを賭けて告訴したG・カールソンと状況を俯瞰して有利に事を運んだM・ケリー、新米キャスターそれぞれの心情を慮り、男性社会で女性がサバイブする苦労に同情してしまう。野心を持つ才色兼備女性がもっとも生きにくい業界かもしれない。J・リスゴーがR・エイルズの気色悪さを見事に体現したのが本作のリアルさにつながっている。題材が#MeTooムーブメントの出発点となった事件だけに、C・セロンら女優陣はみな熱演を披露。コメディが得意なJ・ローチ監督だが『トランボ』以来、政治が絡む実話を丁寧に作っていて、とても勉強になる。エンディングは苦い。

  • ミッドサマー
    『ウィッカーマン』を思い出す怪作ホラー
    ★★★★

    精神的に不安定な妹が一家心中を図る不穏な冒頭に正統派ホラーの気配が漂うが、『ヘディタリー/継承』のA・アスター監督だからヒネリまくる。アメリカ人大学生が夏至祭りを見に訪れるスウェーデンの共同体の天国のような暮らしは落とし穴だらけで、心の奥に徐々に恐怖が広がる仕掛け。姥捨て山エクストリーム版といった場面など背筋が凍るほど恐ろしく、悲鳴をあげかけた。密かに盛られた薬物(ハーブ系?)による妄想や信仰にも似た共同体住民の思想に翻弄される学生たちの哀れなこと。輝く太陽光と残酷なしきたりのコントラスト、美しい花ドレスを纏ったF・ピューの涙に胸を射抜かれ、『ウィッカーマン』を思い出した。

  • ふたりのJ・T・リロイ ベストセラー作家の裏の裏
    複数のドラマを生むJ・T・リロイって、実はすごいのかも。
    ★★★★★

    別人格を作り上げた作家L・アルバートの独壇場だった『作家、本当のJ.T.リロイ』に対し、本作は影武者にさせられたサバンナ・クヌープのPOVで物語が進む。見比べるのも一興だろう。世間の注目に戸惑うサバンナとセレブの仲間入りを喜ぶミーハーなローラとの温度差、徐々に起きる立場の逆転に思わず苦笑。自分を客観視できなかったのがふたりの共通点であり、弱点だったね。結局は創造した異色の経歴ゆえに詰んでしまった女性たちの失敗談であり、強い自意識に囚われる恐ろしさを教えられた。ローラ役のL・ダーンが本人に似せていて、素晴らしい。メディアの狂乱の一端を担ったコートニー・ラブが出演しているのは、一種の禊?

  • グッドバイ~嘘からはじまる人生喜劇~
    大泉洋は愛すべきダメ男役が本当に似合う!
    ★★★★★

    太宰治をモチーフにした“女にだらしない男”の心中話と思いきや、意外にもコメディ方面に舵を切る。すぐに女に手を出す主人公は、女性視点からはNGなのだが、大泉洋が軽妙に演じたせいで愛すべきダメ男となっている。そしてそんな大泉を翻弄する女優陣がまた開き直った演技を披露し、男女の妙味が伝わってくる。ケラさんの脚本力もあるが、演者はみなキャラにハマっている。たくましくも美しいヒロインを演じた小池栄子は声のトーンや話し方をしっかり作りこみ、戦後のどさくさを独力で生き延びる女性を怪演する。彼女と大泉の相性のよさも本作の魅力のひとつ。この二人でダメ文豪シリーズを作ってほしい。

  • 屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ
    画面から悪臭が漂ってきそうな怪作
    ★★★★★

    冒頭から遺体処理で、実際に起きた事件を次々と見せていくファティ・アキン監督の大胆な手法に驚く。「なぜ彼(彼女)は事件を起こしたのか?」と犯人の心情を探らないので、見る側が連続殺人鬼ホンカに同情も共感も感じない作りだ。言動や汚部屋などでホンカの不愉快極まりない人間性を表現されていて、屋根裏部屋のシーンでは、画面から悪臭が漂ってきそうな雰囲気だ。オエッ。凡人では理解不可能なホンカの本性を暴く監督視線のおかげで、彼から肉扱いされる被害者女性たちの哀れな境遇に思いを寄せてしまう。戦後の復興に置いてきぼりにされた女性もいれば、戦争の傷をひきずる老女もいる。残酷な事件を残酷に描いた怪作だ。

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