出る杭になって社会を変えることの大切さ

えんとつの煙によって外界から隔絶された町。人々は外の世界を知ろうともせず、お上の言うことに黙って従い、夢や希望を語る者をバカにしてその口を塞ぎ、異質な者を嫌って排除しようとする。そんな日本社会の閉塞感を投影したような架空の世界を舞台に、煙で覆われた空の向こうに星があることを証明しようとする少年の大冒険が描かれる。出る杭になって社会を変えることの大切さを訴えるストーリーの普遍性も然ることながら、レトロフューチャーでマジカルなビジュアルの世界観、躍動感と疾走感に溢れたアニメーション表現にも目を奪われる。停滞し後退するばかりの今の日本で、生まれるべくして生まれた作品とも言えよう。