ある種の「バディもの」としても楽しめる

音楽業界で働く若い付き人のマギー(ダコタ・ジョンソン)が、鋼のプロであるグレース(ダイアナ・ロスの娘トレイシー・エリス・ロス)との交流の中で鍛えられていく。この辺が『プラダと着た悪魔』と比較されているが、ただグレースも過去の人になりつつある屈辱と葛藤しており、そこにマギーが音楽本来の歓びや初心を無邪気&無鉄砲に突きつけてくる――その柔らかな相互関係こそがキモ。
マギーは60~70年代のオールドスクールな生音愛好家。本当は音楽プロデューサー志望の彼女が、独自に動くお話のラインで登場するのが『ルース・エドガー』や『WAVES』のケルヴィン・ハリソン・Jr.。彼には今年の新鋭男優賞を差し上げたい!