シネマトゥデイ

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森 直人

森 直人

略歴: 映画評論家、ライター。1971年和歌山生まれ。著書に『シネマ・ガレージ~廃墟のなかの子供たち~』(フィルムアート社)、編著に『21世紀/シネマX』『シネ・アーティスト伝説』『日本発 映画ゼロ世代』(フィルムアート社)『ゼロ年代+の映画』(河出書房新社)ほか。「週刊文春」「朝日新聞」「キネマ旬報」「TV Bros.」「メンズノンノ」「Numero TOKYO (Web)」「映画秘宝」などでも定期的に執筆中。※illustrated by トチハラユミ画伯。

近況: YouTube配信番組『活弁シネマ倶楽部』でMC担当中。8月16日より、安里麻里監督(『アンダー・ユア・ベッド』)の回を配信中。ほか、深田晃司監督(『よこがお』)、映画ジャーナリストの徐昊辰さん(2019年上半期映画興行について)、江口カン監督(『ザ・ファブル』)、長久允監督(『ウィーアーリトルゾンビーズ』)、工藤梨穂監督(『オーファンズ・ブルース』)、三宅唱監督(『ワイルドツアー』)、佐向大監督(『教誨師』)、片山慎三監督×松浦祐也さん×和田光沙さん(『岬の兄妹』チーム)、二宮健監督(『チワワちゃん』『疑惑とダンス』)、広瀬奈々子監督(『夜明け』)、緒方貴臣監督(『飢えたライオン』)、関根光才監督(『太陽の塔』『生きてるだけで、愛。』)等々を配信中。アーカイブ動画は全ていつでも観れます。

サイト: https://morinao.blog.so-net.ne.jp/

森 直人 さんの映画短評

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  • タロウのバカ
    こんな世界からも“神話”は立ち上がる
    ★★★★★

    リミッターを外す、どころかフルパワーでぶち壊した大森立嗣の渾身作。デビュー前の脚本が基ながら「いま撮る必然」に満ちた点では大林宣彦『花筐』と並び、当代きっての人気者達が参戦した意義では『ディストラクション・ベイビーズ』等を引き継ぐ闘争となる。

    現在日本社会の腐敗に敏感な作家は「バカ」という主題を同時浮上させている。『イワンのバカ』的聖性を纏わせつつ、インサイドでの改革の試みが石井裕也『町田くんの世界』で、アウトサイドからの一揆が片山慎三『岬の兄妹』なら、ワイルドサイドへ飛び出せと促すのが『タロウのバカ』だ。そこには棄てられた子供達が聖域を作り、野生美を湛えたタロウ=YOSHIが待っている。

  • ブレス あの波の向こうへ
    ブルーグレーの海と空
    ★★★★

    カリフォルニアやハワイのサーフィン映画を基準線とするなら、このオーストラリア映画は「色」が違う。静かで、どこか憂いを含んだ日々の営み。しかし時に波は容赦なく荒々しく、生命の喜びと危険が隣り合わせになる(TVで『白鯨』(56年)をやっているシーンあり)。

    お話の大枠で言うなら、むしろ思春期ものか。製作総指揮のトム・ウィリアムズは原作について「アメリカ人にとっては懐かしさも覚える」と語っており、主人公の少年&親友コンビはトム・ソーヤとハックルベリー・フィンのよう。初監督のサイモン・ベイカーは文句なしの仕事っぷり。「大人の世界」を最も象徴する妻役のエリザベス・デビッキのアンニュイな存在感もでかい。

  • JKエレジー
    「優秀だがカネがない」問題を衒いなく描く真っ当青春映画
    ★★★★

    ちゃぶ台返しではないのだが、それに近いシーンがあって、食卓に怒りをぶちまけるのは高三の娘である。働かない父と兄を抱えた家族の風景。大学の奨学金の返済問題がよくニュースでも伝えられる現在だが、これはそのスタートラインにも立てない郊外在住女子の悲歌。

    監督の松上元太は「一見普通」ながら、経済環境で未来への希望を閉ざされた10代の葛藤をすっきりと描き出す。「見えない貧困」に判り易い可視性を盛らず、少女に男性監督の自意識を仮託させる方向にも寄らず。白いスニーカーで踏み潰しても、白い芋虫はしぶとく生きている。最初は平成~令和の『バージンブルース』かと思ったが、むしろ『赤い文化住宅の初子』等の更新かも。

  • さらば愛しきアウトロー
    ベストアルバム
    ★★★★★

    優しい二枚目、だけどアウトロー。こういった古風なロマンティシズムに82歳のレッドフォードは同期して崩れない。嫌味なく爽やか。『明日に向って撃て!』は「血の出ないニューシネマ」だったが、ここにバカラック/B.J.トーマスの「雨にぬれても」が流れても泣ける程ハマりそうだ。

    サンダンス主催など様々な功績を持つ彼だが、役者としては演技以上にキャラクターの人かもしれない。意外性よりも、とことん「この人らしい」と思える最後の自画像。その幸福が“The Old Man & the Gun”という出来すぎの原題からも伝わる。今年は『アベンジャーズ/エンドゲーム』とこの映画でレッドフォードを観ることができた。

  • 満腹感凄すぎ。スパイダーマン、ヨーロッパへ行く――というB級な軽みを持たせつつ、あの巨大な『アベンジャーズ/エンドゲーム』の堂々たる続編を語り始めてしまう超A級な充実度。アイアンマン亡き後、ロールモデル(父性と指針)を求める未熟な後継者たる16歳男子の前に、トニー・スタークっぽいミステリオが現われて――という構図も秀逸。修学旅行中、生徒たちから教師まで皆キャラが活きているのには本当驚く。

    冒頭の哀悼はホイットニー、ピーターがAC/DCの「バック・イン・ブラック」をツェッペリンと間違えるネタ、肝心な箇所はやはりラモーンズ(NYクイーンズ名物バンド)等々、選曲だけでもメモしておきたいワザが沢山!

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