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みなに幸あれ (2024):映画短評

みなに幸あれ (2024)

2024年1月19日公開 89分

みなに幸あれ
(C) 2023「みなに幸あれ」製作委員会

ライター4人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3.3

相馬 学

スリラーの形式を借りて世の常識を問う

相馬 学 評価: ★★★★★ ★★★★★

 田舎にある親の実家を訪ねたら、祖父母の様子がヤバいほどヘン……という『ヴィジット』風の設定だが、似ているのはそこまで。

 犯罪と断定できる怪事件に端を発し、それが信仰のようなもののうえに築かれ、さらには世の中の真理なのでは?と思わせるヒネッたつくり。信じていたものが崩れるヒロインの胸中と同様、観客の心理をダイレクトに揺さぶる。

 田畑の風景ののどかさと、逃げ場のない恐怖の対比も絶妙。常識と異常の境目を突いてくる新鋭、下津雄太の着眼点の面白さに注目したい。

この短評にはネタバレを含んでいます
くれい響

従来のJホラーとは一線を画す“日本版『ミッドサマー』”

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

久々に帰省したヒロインに巻き起こる田舎ホラーという意味では、明らかに“日本版『ミッドサマー』”。しかも、彼女の前で奇行を繰り返す(ように見える)祖父母の不穏さや不気味さは、『ヴィジット』『X エックス』あたりを思い起こさせるが、祖母の大根すぎる芝居が肝。「幸せな一家には、必ず身代わりがいる論」など、さまざまな謎は謎のまんま進み、突然ヒロインに投げかけられる「あなたも気づいてたんでしょ?」というセリフにドキッとさせられる。いろいろと破綻はきたしているが、従来のJホラーとは一線を画しており、『極道恐怖大劇場 牛頭』を観たときのような衝撃もあり、そのような作品を古川琴音が選んだ面白さもポイントだ。

この短評にはネタバレを含んでいます
大山くまお

地方の因習が怖いのではなく社会全体が怖いという物語

大山くまお 評価: ★★★★★ ★★★★★

我々の「幸せ」は見知らぬ誰かの犠牲の上に成り立っているのではないか? 理不尽なことに見て見ぬふりをして今ある現実を受け入れなければいけないのか? 地方の因習を扱っているように見えて、実は現代を生きる我々全体の問題をえぐり出そうとする社会派ホラー。「現実を知れ」「お花畑」などの言葉が普通の人々の口から出てくる嫌な感じをよく描いている。恐怖に直面した主人公がまったく解決策を得ることができない泥沼感もよく出ていた。あとは、頻出するシュールな描写を受け入れられるか、受け入れられないかで評価が変わる作品だと思う。古川琴音はホラークイーンの素質十分の大熱演。個人的には真逆のラストが見たかった。

この短評にはネタバレを含んでいます
村松 健太郎

新たなホラー映画の才能の誕生

村松 健太郎 評価: ★★★★★ ★★★★★

日本ホラー映画大賞の大賞受賞作品が劇場公開となりました。本作で商業長編映画デビューとなる下津優太監督の名前は覚えておいた方がいいでしょう。近年はベテラン監督に頼りがちだったJホラーに新たな才能が現れました。いわゆる田舎モノホラーというスタートから、最終的には人類の宿痾のような事柄にまで物語が拡がります。映画・ドラマで絶好調の古川琴音がホラー映画のヒロインを好演、ジャンルとの相性の良さを感じさせました。映画全編に流れる”何かがおかしい”という空気感を醸し出す共演陣の好演も光ります。

この短評にはネタバレを含んでいます
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