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MEMORIA メモリア (2021):映画短評

MEMORIA メモリア (2021)

2022年3月4日公開 136分

MEMORIA メモリア
(C) Kick the Machine Films, Burning, Anna Sanders Films, Match Factory Productions, ZDF / Arte and Piano, 2021. Photo: Sandro Kopp (C) Kick the Machine Films, Burning, Anna Sanders Films, Match Factory Productions, ZDF-Arte and Piano, 2021

ライター3人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4

森 直人

集大成と入門編のニュアンスを同時に感受できる傑作

森 直人 評価: ★★★★★ ★★★★★

まさかの「記憶」というアピチャッポン・ウィーラセタクンの核心的主題をそのまま冠した新作。かねてから愛を表明していたジャック・ターナー監督の『私はゾンビと歩いた!』(43年)からジェシカの名を受けたティルダ・スウィントンが、地球/宇宙に内蔵されたハードディスクの如き記憶の層を旅する。

コロンビアが舞台であり、南米流儀マジックリアリズムの呪術性や魔術性を見出す事も可能だろう。だが骨子となる物語は実はシンプル。正体不明の「何か」を受信する違和感から始まり、やがて「世界」の全体性を肯定していく道筋と整理できるかも。アピチャッポン自身が「土地や他者、自己と同一化しようとする試み」と定義するように。

この短評にはネタバレを含んでいます
なかざわひでゆき

音と記憶を巡る人間の本能的な感覚を呼び覚ます

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 『ブンミおじさんの森』でカンヌのパルムドールを獲ったアピチャッポン・ウィーラセタクン監督の最新作。南米コロンビアのボゴタで、病気の妹の見舞いに訪れた英国人女性が、自分だけにしか聞こえない奇妙な「音」に悩まされ、やがてジャングルの奥地へと誘われていく。監督の過去作と同様、観客の忍耐力が求められる映画。静かな環境音に包まれた長回しシーンでは殆ど何も起きず、幾つかの不可解な現象にも答えは提示されないままで終わるが、しかし音と記憶を巡る人間の本能的な感覚を呼び覚ますような、不思議な心地良さがある。洗練された都市空間と神秘的な自然環境の映像的な対比も美しい。

この短評にはネタバレを含んでいます
猿渡 由紀

神秘的で謎めいたことが散りばめられていく

猿渡 由紀 評価: ★★★★★ ★★★★★

過去作でもそうだったように、ウィーラセタクン監督によるこの映画では、時間がとてもゆったりと流れる。画面がほぼ静止状態で、何も起こらないということもしばしば。インスタレーション・アートを見ているような気分にもなるが、同時に聴覚も刺激される。主人公ジェシカが「どん」という大きな音を聞くことから始まるこの映画は、雨、雷、他人の話し声など、すべての音に注意を払わせるのだ。神秘的で謎めいたことが散りばめられていくが、はっきりとした答を与えることをしないため、好き嫌いは分かれるだろう。主演のティルダ・スウィントンは、半分以上スペイン語のせりふを見事にこなしている。

この短評にはネタバレを含んでいます
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