関心領域 (2023):映画短評
関心領域 (2023)「音」の効果がここまで衝撃的…という意味で劇場マスト
家族で湖で泳ぎ、母はガーデニング、子供たちは楽しく駆け回り、思春期の2人は家の裏でキスする。のどかで満ち足りた日常だが背後に妙な「ノイズ」がつねに響いている。映画を観ているわれわれは、その音が何かを理解しているが、ひたすら耳障りで、じわじわ神経を逆撫でしてくる感覚。そして時おり挿入されるモノクロシーンが、視覚と聴覚で異様な恐怖感を増幅する。
人物のアップは避け、あくまで「風景」のように記録される映像、その突き放したような演出が、作り物ではなく事実を目撃している錯覚をおぼえさせる。
現代につながる描写は今もどこかで続く悲劇と、われわれの関係を地続きにして、戦慄が止まらない。肉体が反応する必見作。
この短評にはネタバレを含んでいます