THE WILD 修羅の拳 (2023)：映画短評

　対戦相手を死なせて服役した元ボクサーが出所し、過去と決別して静かに暮らそうとするも、しかし昔のしがらみから麻薬密輸を巡る裏社会の抗争に巻き込まれていく。表向きは羽振りの良い青年実業家の反社組織ボス、ヤクザよりも凶暴でがめつい汚職刑事、韓国社会から爪はじきにされる脱北者の麻薬業者。アクの強すぎる極悪キャラがズラリと揃うのは韓流ノワールの醍醐味ですな。しかも、それぞれ何処か人間的な面白さもある。で、主人公はそんな連中の捨て駒として利用されるふりをして、ある女性を裏社会から救うために彼らを出し抜こうとするわけだ。この丁々発止の抗争劇がなかなかの面白さ。哀しい余韻を残すほろ苦い結末も悪くない。