ロスト・イン・パリ (2016):映画短評
ロスト・イン・パリ (2016)巴里の空の下セーヌは流れる
日本公開は7年ぶりとなるアベル&ゴードンの新作(ブルーノ・ロミは不参加)。クセになるスタイルは一段と磨きが掛かり、「もっと(他の作品も)観たい」という気持ちにさせられる人達だ。今回は伝統的な仏映画のコミカライズ版といった趣。パントマイムを基盤に、色使いまで計算され尽くした可愛いタッチが貫かれ、主に描かれるのは本人達の言葉を借りると「橋の下のパリ」だ。
カナダの田舎からやってきたマンガ的な喪女と、シーニュ島(小型の「自由の女神」像がある)にテントを張るセーヌの放浪者。「下層」から人生をライトアップし、殺伐とした現代に古典的な明るい光をもたらす。道化師ならではの洗練された風刺に全編惚れぼれ。
この短評にはネタバレを含んでいます