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なぜ?「どうする家康」オープニングが一夜限りのSP仕様に

第44回の一夜限りのタイトルバック
第44回の一夜限りのタイトルバック - (C)NHK

 19日に放送された大河ドラマ「どうする家康」(毎週日曜夜8時~NHK総合ほか)第44回のオープニングは、テーマ音楽とそれに乗せて流れるタイトルバックが一夜限りのスペシャル仕様となり、SNSでは「音楽!?」「あれ、いつもと違う?」「ピアノアレンジ?」「オープニングのアレンジかっこよ」「どういう意味?」など驚きの声が上がった。このSP仕様について、テーマ音楽を担当した稲本響、タイトルバックの制作を担当した菱川勢一、演出統括・加藤拓がコメントを寄せた。

一夜限りのタイトルバック【ビジュアル】

 音楽を担当した稲本いわく、第44回のオープニングテーマ曲はこれまでのピアノコンチェルトスタイルではなく、ピアノだけで全てのパートを演奏したスペシャル版。「NHK交響楽団の皆さんと共に作り上げたサウンドをイメージしながら、オーケストラパートも含めた全てのパートを 1人で多重録音で演奏するというアイデアを形にした」と言い、「「どうする家康」では、家康公が年齢を重ねると共に、演奏するピアノの年代も古くし、4台のニューヨーク・スタインウェイを NHKのスタジオに持ち運んでレコーディングを行なっています。その4台全てを弾き分け、逆再生やピアノミュート(特許第4572092号)も使って数百にも及ぶフレーズを重ねて楽曲を完成させました。クラップ(手拍子)の音もピアノです」とその過程を説明している。

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 タイトルバックを担当した菱川は、稲本の楽曲を聴き「まるで円相を描くように一筆の表現に取り組んだ」と話す。「葛藤を乗り越えながら太平の世を目指した家康の胸中を、幾重の山が静かに代弁するようにタイトルバックとして表現できたらと。数々の別れや、出会い、裏切りと忠誠の中から戦のない未来を見続けた家康の生き様。新たな春を迎えて舞う桜。見守る富士の山。戦のない史上最長とされたひとつの時代の江戸時代。今の私たちもまた「どうする?」と問われながら生きている中で、その幕開けに至るまでの物語の背景から何を気付かされたのでしょうか。その意味はきっとこのドラマの先に見つかるのでしょう」とタイトルバックに込めた思いを語っている。

 第44回「徳川幕府誕生」は、家康(松本潤)が「関ヶ原の戦い」で石田三成(中村七之助)らの軍に勝利してからの展開。時は流れ、征夷大将軍となった家康は江戸に幕府を開き、ウィリアム・アダムス(村雨辰剛)らと国づくりに励む一方、大阪では流罪となった大野治長(玉山鉄二)が反撃の機会をうかがっていた。

 稲本、菱川、加藤のコメント全文は下記の通り。(編集部・石井百合子)

音楽:稲本響(ピアニスト・作曲家)

 本日オンエアされました大河ドラマ「どうする家康」第44回のオープニングテーマ曲ですが、これまでのピアノコンチェルトスタイルではなく、ピアノだけで全てのパートを演奏しているスペシャル版となります。これまで、多くの方々が「どうする家康」のメインテーマ曲をブラスバンドやリコーダーなど、様々な編成で素晴らしい演奏をしてくださり、SNSなどにも投稿してもらえていることが本当に嬉しくて、沢山の刺激をいただきました。何か作曲者本人にもできることがないかとずっと考えていました。

 その結果、ピアニストである僕自身が、NHK交響楽団の皆さんと共に作り上げたサウンドをイメージしながら、オーケストラパートも含めた全てのパートを 1人で多重録音で演奏するというアイデアを形にしました。「どうする家康」では、家康公が年齢を重ねると共に、演奏するピアノの年代も古くし、4台のニューヨーク・スタインウェイを NHKのスタジオに持ち運んでレコーディングを行なっています。その4台全てを弾き分け、逆再生やピアノミュート(特許第4572092号)も使って数百にも及ぶフレーズを重ねて楽曲を完成させました。クラップ(手拍子)の音もピアノです。

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 これまでもタイトルバックの菱川勢一さんは、音楽の余韻にまで神経を張り巡らせて映像を作ってくださっていました。そんな菱川さんも驚かせたいと思って 4台ピアノ Ver.を録音したのに、それを知った菱川さんからまた新たな映像が上がってきて、楽しいイタチごっこです。この1年、毎週この楽曲を聞き続けてくださっている視聴者の皆さん、本当にありがとうございます。一夜限りの遊び心をお楽しみいただけたなら、こんな幸せなことはありません。

タイトルバックデザイン:菱川勢一(映像工芸作家)

 関ヶ原の戦いを経て、徳川幕府へ。オーケストラ編成のオープニング曲を第44回のために4台のピアノを使用して表現した稲本響さんの特別曲を聴いたのは突然のことでした。「ミックスを終えました」との知らせを受けて、演出統括の加藤拓さん、スタッフの方々と共に稲本さんのもとを訪ねました。曲を聴いた帰路で、創作意欲に駆り立てられました。まるで円相を描くように一筆の表現に取り組みました。葛藤を乗り越えながら太平の世を目指した家康の胸中を、幾重の山が静かに代弁するようにタイトルバックとして表現できたらと。数々の別れや、出会い、裏切りと忠誠の中から戦のない未来を見続けた家康の生き様。新たな春を迎えて舞う桜。見守る富士の山。戦のない史上最長とされたひとつの時代の江戸時代。今の私たちもまた「どうする?」と問われながら生きている中で、その幕開けに至るまでの物語の背景から何を気付かされたのでしょうか。その意味はきっとこのドラマの先に見つかるのでしょう。ドラマとして現代に残そうと長い年月をかけて制作に勤しんだスタッフの皆さま、音楽の稲本響さん、応援してくださった視聴者の皆さま、出来る限り純粋創作ができるように環境を整えてくれた会社のスタッフたち、叱咤激励をしてくれた家族、関わったすべての方々に感謝の気持ちでいっぱいです。約二年間、素晴らしい創作の機会をありがとうございました。これから先、自分も何かに迷ったら見返そうと思います。

演出統括・加藤拓

 第44回のメインテーマはテーマ音楽もタイトルバック映像もスペシャルバージョンでした。見果てぬ夢を追うかのような、長い長い旅をゆくかのような、眼下に連なるいくつもの山を越えて飛ぶ視点。第 3 弾タイトルバック映像を完成させた菱川さんが「テーマ音楽のフルピアノバージョンとか作んないの?」と突然聞いてきました。菱川さんと稲本さんは NHKドラマ「ストレンジャー~上海の芥川龍之介~」でもコラボしているので、稲本さんのピアノの素晴らしさをよく知っています。「フルピアノバージョンができたら新しくタイトルバック作るの?」とたずねると笑って答えませんでしたが、実はほぼ同時に稲本さんから「テーマ音楽のフルピアノバージョンを作りたい」と連絡があったのです。ピアニストである稲本さんが「フルピアノバージョンを作る」とは「自ら演奏する」ということで、それはそれは楽しみでした。NHKスタジオに4台のグランドピアノを運び込み、すべてのパートを独りで弾き続け…完成したのがこのスペシャルバージョンのテーマ音楽です。菱川さんに「本当に出来たよ」と連絡し、4台ピアノ Ver.を聞いた菱川さんはアトリエにこもり、音楽に応えるようにタイトルバック・スペシャルエディションを描き出しました。関ヶ原の決戦を終え、束の間、家康の夢をみるかのような音楽と映像は、二人の密度の濃いコラボレーションによって生まれました。

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