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ドラマ「大奥」コロナとの関連は?制作統括・藤並英樹が回答

医療編キービジュアル。左から黒木(玉置玲央)、青沼(村雨辰剛)、平賀源内(鈴木杏)、田沼意次(松下奈緒)、一橋治済(仲間由紀恵)
医療編キービジュアル。左から黒木(玉置玲央)、青沼(村雨辰剛)、平賀源内(鈴木杏)、田沼意次(松下奈緒)、一橋治済(仲間由紀恵)

 よしながふみが、男女が逆転した江戸パラレルワールドを描いた漫画を実写化したドラマ「大奥」シーズン2(NHK総合・毎週火曜午後10時~10時45分ほか)が放送中だ。前半パート「医療編」では8代将軍・徳川吉宗(冨永愛)の遺志を引き継いだ若き医師たちが、男性だけが罹患する疫病「赤面疱瘡」の研究に尽力するさまが描かれ、SNSでは新型コロナウイルスで混乱に陥った世相と重ねる声も見られたが、その関連性やシーズン1とシーズン2の違いについて、制作統括を務めた藤並英樹チーフプロデューサー(以下CP)が語った。※7日放送・「幕末編」第16話は総合テレビでは午後10:25~11:10の放送、BS4Kは午後10時~放送

【画像】シーズン1のキービジュアル3種

 「医療編」では、本草学者の平賀源内(鈴木杏)や蘭方医の青沼(村雨辰剛)、老中・田沼意次(松下奈緒)らが赤面疱瘡撲滅に奔走するも、権力や陰謀を前に理不尽な死や失脚を遂げるさまが描かれた。その際、羅患した患者の発疹を健常者に接種することで免疫を獲得する「人痘接種」が克明に描かれるなど、未知のウイルスの脅威やそれに取り組む過程のリアリティーが注目を浴びた。くしくも、それは現在の世相と通じるものがあるが、今「大奥」を実写化した背景にはそれらも含まれるのか? 藤並CPは、企画自体は10年前(コロナ以前)に立ち上がったものであることを前置きしながら、以下のように答える。

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 「企画者だった岡本幸江が10年前からやりたいと考えていた企画だったんですけれど、やはり新型コロナというものがあって、人類に対する脅威みたいなのがすごく身近に迫ってきたっていうのが肌感覚としてはありました。もちろんジェンダーだったり、そういった観点もあると思いますけれども、未知の疫病というものに対しての恐怖は今取り上げるべき話題ではないか、と思っていました」

 しかし、藤並CPはあくまで「大奥」が「普遍的な人間の歴史」を捉えた物語であることを強調する。「全ては様々な人の努力、叡智、犠牲があって解決策が生まれていくという、ある意味で人間の歴史のようなものが凝縮されている。1人の天才によってというよりも、それこそ没日録で名前に墨が塗られていく描写がありますが、歴史の表に出なかった名もなき人々が未知なる脅威と相対し、乗り越えていくという人間の尊さのようなものをきちんと描きたいと。そこは今の時代のコロナがどうのというより、普遍的な事柄として表現できたらいいのではないかと考えていた次第です」

「幕末編」キービジュアル。左から阿部正弘(瀧内公美)、徳川家定(愛希れいか)、天璋院・胤篤(福士蒼汰)、瀧山(古川雄大)、徳川家茂(志田彩良)、和宮(岸井ゆきの)

 11月7日よりスタートとなる後半パートの「幕末編」では、大奥総取締・瀧山(古川雄大)、徳川幕府13代将軍・家定(愛希れいか)、徳川家康に影武者として仕えた阿部正勝の子孫・正弘(瀧内公美)、将軍・家定の正室となる天璋院・胤篤(福士蒼汰)、14代将軍・家茂に嫁いでくる帝の妹宮・和宮(岸井ゆきの)、14代将軍・家茂(志田彩良)らが登場。幕末・大政奉還の物語が描かれる。「幕末編」の面白さは、大きな歴史の変化を個々の日常から描くところにあるという。

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 「幕末、大政奉還、倒幕みたいなものを大河ドラマなどで描くとき、改革していく側からスケール大きく描かれることが多いですけど、自分にとって今回すごく新鮮だったのが、大奥というすごく狭い世界から見るとこういうふうに見えるんだっていう驚きでした。小さい世界というか、個々の人間の日常の中から歴史を見ると、こういうことなのかもしれないなっていう見方ができた気がするので、そこを皆さんにもお楽しみいただければ嬉しいです」

 なお、藤並CPはシーズン1と2の違いについて「シーズン1はどちらかというと、将軍の色を濃く出しながら将軍とバディの関係で見せていくつくりだったと思うんですけども、シーズン2は群像劇の形をとりました」と説明。「前半の医療編は赤面疱瘡という疫病、一橋治済といった、日本、家に対して脅威になるものにチームで立ち向かっていく人々の物語。幕末編は、大政奉還という大きな時代の変化を迎えるにあたって、平和に向かって悪戦苦闘する人々のお話です。スタイルの違いはキービジュアルでも顕著に表れていて、シーズン1では将軍と対になる2人で3パターン作りましたが、シーズン2では幕末編、医療編をそれぞれチームで作りました」と話す。

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 シーズン1のキービジュアルでは8代将軍徳川吉宗・水野祐之進、3代将軍・徳川家光&万里小路有功、5代将軍徳川綱吉&右衛門佐。シーズン2では医療編に平賀源内、田沼意次、黒木、青沼、一橋治済、幕末編に瀧山、徳川家定、阿部正弘、天璋院・胤篤、和宮、徳川家茂が配置されている。

 現在、よしながふみの漫画をドラマ化した「きのう何食べた?」のシーズン2も放送中だが、藤並CP自身、大のよしながファン。よしながの作品の魅力について「登場人物の日常が丁寧に描かれていて、キャラクターの生活や感情が際立って描かれていて共感できる」としみじみ。「それにおいしそうな料理がたくさん出てくるところも(笑)。僕はよしながさんってすごく優しい方なんじゃないかなと思っているんですが、人を見る優しい目線が作品に表れているのではないかと。そんなよしながさんの眼差しに好感が持てますし、共感できるところでもあります」と言葉は尽きない様子だった。(編集部・石井百合子)

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