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赤楚衛二、たどり着いた「今この瞬間を楽しむ」という境地

赤楚衛二
赤楚衛二 - 写真:高野広美

 「今際の国のアリス」の原作者・麻生羽呂高田康太郎(作画)と組み、2018年から月刊サンデーGXにて連載中の大人気コミック「ゾン100~ゾンビになるまでにしたい100のこと~」の実写化映画がついに完成(Netflixにて独占配信中)。主人公・アキラを演じるのは、話題作への出演が続く赤楚衛二だ。「アキラは憧れに近いキャラクター」という彼が、本作の役柄から学んだこと、現在の心境について語った。(取材・文:石塚圭子)

クールな魅力も!赤楚衛二撮りおろしカット<6枚>【画像】

物事の明るい面にフォーカスすることの大切さ

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(C)麻生羽呂・高田康太郎・小学館/ROBOT

 赤楚演じるアキラは、夢と希望を抱いて制作会社に新卒入社するも、初日にブラック企業と知り、過酷な労働環境でみるみる“社畜”と化していく等身大の青年。しかし、ある日、未知のウイルスの蔓延により、世界中の人々がゾンビになってしまうパンデミックが起こったことで、「これで会社に行かなくていい!」と、逆に生きる活力を取り戻していく。

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 「絶望的な状況下で、楽しいほうにフォーカスするのがアキラのすごさですね。現実の世界でも、物事のとらえ方によって、日々がすごく色鮮やかになったりすることがあります」と赤楚は話す。だからこそ、演じる際に自身の根底にあったのは「とにかく楽しむ!」という気持ちだった。「全シチュエーションで、思いっきり楽しんで。そこがキーになっていくと感じました。あと、冒頭ではブラック企業で働いて、死んだ目になっていく過程が描かれるので、しんどいところは、とことんしんどく。苦しむところと楽しむところの差をいっぱい広げつつ、そのグラデーションの調整は意識しましたね」と役作りについて振り返った。

 本作で監督を務めた俊英・石田雄介のことを「本当に命削って作っているなと思うくらい熱量の高い監督」と評する赤楚は、シーンごとに石田と話し合い、自らアイデアをどんどん出していったという。「撮影しながら、早く観たい! って、ずっと思っていました。自分の中では、やれることはぜんぶやった! と思える作品です」と胸を張る。

感覚だけでなく客観視も取り入れた芝居へ

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仲間となるシズカを演じた白石麻衣 - (C)麻生羽呂・高田康太郎・小学館/ROBOT

 昨年から今年にかけては「舞いあがれ!」で朝ドラに初出演、春クールは木村拓哉と共演した「風間公親-教場0-」、山田裕貴と共演した「ペンディングトレイン -8時23分、明日 君と」の2本のドラマに出演するなど、絶え間なく大きな役が続いている。赤楚はこれらの経験を通して「芝居の仕方が変わった」という。

 「朝ドラの途中までは、ずっと感覚頼りだったんです。それが空振りすることもあれば、ホームランも打てるんじゃないかと思えるようなこともあって、自分で演じていても何が起こるか分からないという楽しみがありました」。ただし、そのやり方ができたのは、「一つの役にずっと向き合っていられる状況」だったからだと赤楚は分析する。「教場0」「ペンディングトレイン」の撮影の頃からは「芝居を今までどおり心でやりつつ、さらに客観的な視点を取り入れたい」と思うように。「カメラの目線を考えたり、相手に対しても、あぁ、こういう芝居をしてくるんだと、より見えるようになったり。こちらも選択肢をいくつか用意して、相手に合わせてカードを出していくみたいな楽しさ」も味わった。

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 芝居に関して変化があった一方で、自身については「ここ半年で何か変わったのか、変わっていないのかは分からない」と打ち明ける。というのも「考え方は周囲に影響を受けるというより、本を読んだりして、自己との対話を通して掘り下げていく」タイプだからだ。

 「世界ではいろんなことが起きていますが、結局、見ている人それぞれによって、その世界は違うと思っていて。僕が見ているこの世界は、僕の中にしか答えがない。となると、やっぱり自分と向き合っていかないかぎり、考え方もアップデートされていかないんじゃないかなって思います。ニュースとかを見て、情報を得るだけじゃなくて。そこに対して、表と裏、いろんな面で見て、深掘りして、答えを出していくっていうことをやらないと」と話しつつ、「最近はなかなかできていないと思います」とポツリ。忙しいゆえにジレンマもある。

ないものねだりはせず、今あるものに目を向ける

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写真:高野広美

 本作の劇中、アキラは「ゾンビになるまでにしたいこと」リストを作成し、ひとつひとつ実現する冒険へと繰り出す。一方、赤楚自身は、やりたいことを聞かれて、「海外旅行がしたい、今まで行ったことがないところをまわりたい」などと答えながらも「それが果たして純粋にやりたいことなのか、それとも多忙な中でただ現実逃避したいだけなのかが分からない状態」だと正直に付け加える。それは、もともと赤楚が「できないことを望むより、今できていることの中で楽しさを見つけていこう」というスタンスの持ち主だから。そして、そのスタンスは、今後の仕事への取り組み方、将来のビジョンや夢についても変わらない。

 「僕、目標を作ってないんです。しいて言うなら、海外の作品をやってみたいという気持ちはあります」と話す彼にとって、一番のモチベーションは「ただただ、自分が出演した作品を観た人が楽しんでくれること」に尽きる。

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 現在29歳、主演ドラマ「こっち向いてよ向井くん」も始まり、俳優としてますます精力的に仕事に邁進しているという印象を受けるが、本人が抱いているのは「目標に向かって進むのではなく、30歳、40歳になって、振り返ったときに、こういう道筋を歩いて来たんだ、って思う」ようなイメージだ。「そのほうが、自分がどうなるのか分からない楽しさを感じられるかなと。一生懸命がんばっていれば、何かしら形になって残ってくれる、とは信じているので。フラットな状態で、今この瞬間、瞬間を大事に生きています」と軽やかに笑った。

Netflix映画『ゾン100~ゾンビになるまでにしたい100のこと~』はNetflixにて独占配信中

ヘアメイク:廣瀬瑠美/スタイリスト:壽村太一

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