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誹謗中傷や殺害予告、学校での孤立も…環境活動家グレタさんの素顔に迫るドキュメンタリー

怒りの表情だけじゃない、細やかな一面も - 映画『アイ・アム・グレタ(原題)』より
怒りの表情だけじゃない、細やかな一面も - 映画『アイ・アム・グレタ(原題)』より - Courtesy of TIFF

 若き環境活動家グレタ・トゥンベリさんの素顔に迫ったドキュメンタリー映画『アイ・アム・グレタ(原題) / I Am Greta』が第45回トロント国際映画祭で上映された。ネイサン・グロスマン監督は2018年8月、当時15歳のグレタさんを一躍有名にしたスウェーデン国会議事堂前での座り込み(選挙までの期間、地球温暖化対策を訴えて学校をボイコットするというもの)の初日から、ニューヨークで行われた国連気候行動サミットでの怒りのスピーチまで、約1年にわたって彼女に密着している。

【画像】厳しい表情のグレタさん

 世界が彼女を知る前にドキュメンタリー映画作りが始まった経緯について、グロスマン監督はQ&Aで「思わぬ偶然なんだ。僕の友人がグレタの家族を少し知っていてね。それで彼女が選挙の前に学校をストライキすると知り、ドキュメンタリー作品で環境問題を扱ってきた僕に興味はないかと話が来た。そうして僕がカメラを持って行くことになったんだよ」とコメント。“気候のための学校ストライキ”初日には「そんなことをせずに勉強して変えなさい」と通りすがりの女性から諭されていたグレタさんが、驚くべきスピードで人々を感化し、世界的なムーブメントを起こしていくさまが克明に記録されている。

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 その一方、アスペルガー症候群(こだわりが強かったり、対人コミュニケーションが苦手だったりする自閉症の一種)で環境問題への知識と情熱は人並外れているものの、それゆえ学校では孤立し、ストライキでも父の前では「世間話ができない。しんどい」と弱々しくこぼしたり、演説前のプレッシャーに押しつぶされそうになったりと等身大の姿も映し出される。地球温暖化否定論者からの誹謗中傷や殺害予告に静かに耐える姿も。

 グロスマン監督は「列車で旅をしている時、僕は売店でプラスチックの入れ物に入ったサラダを買って、机に置いていた。彼女がInstagramに上げた写真には、そのプラスチックが映り込んだんだ。そうしたら大変なことになった。彼女は常に右翼のメディアに攻撃されていて、その時は僕のプラスチックのランチを理由に攻撃されたんだ(※グレタさんは脱プラスチックを掲げている)。何てことだ、僕はもっと気を付けないといけないと思ったよ。彼女へのヘイトはすごく激しいんだ」と振り返った。

 本作を、彼女の視点から映し出すものにしたかったというグロスマン監督。「彼女はこの問題についてとても明瞭に話すから、彼女の頭の中で響くモノローグ(独白)はどんなものなのかを理解したかった。僕は、誰もに内なるモノローグがあると思うんだ。だから本作には家族のインタビューとかはなく、ただインタビューや日記に基づいた彼女のナレーションがあるだけだ。それが本作の多くを占める構成にした。そしてカメラを彼女の実際の視点に下げることも心掛けた。僕の身長は190センチなのだけど、彼女はとても小さいから。だからグレタの世界に入るために身をかがめていた」と工夫を明かしていた。(編集部・市川遥)

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