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新型コロナウイルスの影響で香港国際映画祭が延期に

延期のお知らせ、香港国際映画祭プレスリリースより
延期のお知らせ、香港国際映画祭プレスリリースより

 猛威を奮っている新型コロナウイルスの影響で、3月24日~4月6日に開催予定だったアジア最大級の映画イベントである第44回香港国際映画祭(HKIFF)、第24回香港フィルマート(FILMART)、第18回香港-アジア・フィルム・ファイナンシング・フォーラム(HAF)が延期されることが2月13日、各団体から発表された。

 HKIFFのエグゼクティブ・ディレクターであるのアルバート・リーは、開催1か月前での決断は容易ではなかったそうだが、「多くの人々の安全と健康を危険にさらさないようにする社会的責任があります。併せて新型コロナウイルスに感染された方々の1日も早い回復をお祈りしております」と声明を発表した。

 HKIFFは1977年に創設。一時期は香港映画界の低迷により勢いを失っていたが、FILMARTやHAFを併設したことで特に中国本土からの参加者が増え、関連イベントを含めた来場者は約60万人に達し、アジアでも最大級の映画祭イベントへと成長した。

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 日本からの参加者も多く、山田洋次監督がアジア映画終身監督賞、石井裕也監督がエドワード・ヤン記念賞を受賞している。今年も企画マーケットのHAFに、荻上直子監督の新作企画『ブラインド・フォレスト(英題)/Blind Forest』が選出されたことが既に発表されていた。

 もともと香港は昨年から反政府抗議デモが長期化しており、HKIFFの開催が懸念されていた。2007年にHKIFF開催30年と香港返還10年を記念して創設されたアジア版アカデミー賞ことアジアン・フィルム・アワードは、HKIFF関連イベントとして行われていたが、第14回は10月に開催される釜山国際映画祭会期中に行うことを昨秋に発表した。

 表向きは同賞が2013年から釜山国際映画祭と東京国際映画祭の合同事業となったことから、授賞式の場所を巡回していく方向性を示したようだが、背景には社会情勢を鑑みての決断だったのだろう。そこに新たに新型コロナウイルスの感染が拡大。中国では映画館の休業のみならず撮影自体も政府から中止指示が出ており、製作の遅れは必至。HKIFFなどの延期決定は、要である中国・香港の上映作品自体を集められないという事情もあったのではないかと推測される。

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 現在のところ新たな開催時期は、8月27日~29日に開催される第24回香港国際映画・テレビマーケット(FILMART)の期間を考えているという。直後には世界三大映画祭の一つであるベネチア国際映画祭も控えており、 大幅に規模は縮小されそうだ。

 引き続き中国では4月19日~26日、北京国際映画祭の開催も予定されており、対応が注目されている。人命および日常生活の安定あってこその娯楽産業だが、好調だった中国圏の映画産業も新型コロナウイルスの蔓延で大きな打撃を受けそうだ。(取材・文:中山治美)

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