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アラビアのロレンスやイラク国王と交流のあった英国女性情報員を描いたドキュメンタリー

(左から)共同監督のザビーヌ・クラエンビュール&ゼヴァ・オエルバム
(左から)共同監督のザビーヌ・クラエンビュール&ゼヴァ・オエルバム

 ニューヨーク開催のドキュメンタリーの祭典「DOC NYC」の出品作『レターズ・フロム・バグダッド(原題) / Letters From Baghdad』について、共同監督ザビーヌ・クラエンビュールゼヴァ・オエルバムが、11月9日(現地時間)彼女たちのオフィスで語った。

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 本作は、イラク建国の立役者で英国の女性情報員ガートルード・ベルの人生を、アーカイブ写真、彼女の出版本、日記などを通してひも解き、さらに彼女に関わった(『アラビアのロレンス』の題材となった)T・E・ロレンスやイラク国王ファイサル(当時)などとの交流を含めて描いたドキュメンタリー。

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 ガートルードの母親は彼女が3歳のとき亡くなり、その後、父親と再婚したフローレンスが彼女の継母となる。ガートルードの性格はこの継母の影響が大きいのか尋ねると、ゼヴァは「継母のフローレンスはとても世俗的な人で、劇作家として舞台の多くの人と関わっていた。そんな舞台と音楽が全盛期の頃に、ガートルードの人生に大きな影響を与えた。それは彼女の視野を広げ、最終的に土地(英国)を離れるきっかけにもなった」と証言。その後ガートルードはオックスフォード大学に通うことになるが、この決心も継母の影響が大きかったようだ。

 二人はガートルードが執筆した書籍にも言及。ゼヴァが「ペルシャの情景」について「それは彼女の初出版本で、そこには彼女の体験を記したエッセイや、訪れた土地の情景などの写真が載っている。彼女の両親が彼女を駆り立てて、『ペルシャの情景』を出版させた。なぜなら、ガートルードは当初はプライベートなものとして記していたから。それに出版された当時は、彼女の名前が本に記載されていなかった」と語ると、一方のザビーヌは、ガートルードが考古学を学び出版した「シリア縦断紀行」について触れ「この本は『ペルシャの情景』とは異なっていて、彼女の計画通りの旅が記録されている。古代遺跡の写真なども載っていて、それら遺跡についても説明されていた」と明かした。

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 また、T・E・ロレンスとガートルードの関係について「彼らが初めて会ったときは、二人とも考古学者だった」と語ったザビーヌ。「ガートルードはドイツの(古代遺跡の)発掘手法に興味を持っていて、それが理由でT・E・ロレンスと出会うけれど、T・E・ロレンスは彼女が(シリアに)来ることを懸念していた。彼は、彼女が発掘について記した書物を出版することで、彼自身の発掘が減らないように気をつけていた。その後、友情的な感覚をお互いに得るけれども、あくまでライバルな関係でもあった」と答えた。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)

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