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第18回こはたあつこ「アメリカでのポニョの評判は?の巻」

うわさの現場潜入ルポ

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こはたあつこのうわさの現場潜入ルポ
アメリカでのポニョの評判は?の巻き

(C) WireImage 取材・写真・文:こはたあつこ(LA)

皆さーん! もう『崖の上のポニョ』を見ましたかー!? そんなことを質問すると、「え、今ごろ、何言っているの。ずっと前に観たわよ!」と突っ込まれそうですね。日本公開はとうの昔、一年前の7月に公開。DVDもすでに出ているし。

うちの3歳になる姪でさえも観ている。でも、本人がかなりのポニョ似なので、夢中になるだろうと思ったら、目玉ギョロギョロの波の軍団が登場した途端に「怖いよー」と母親に抱きついて、最後まで観られなかったんですって(笑)。

何はともあれ、そんなポニョの英語吹き替え版がアメリカでは8月14日から公開。英語版は主人公の5歳の男の子、宗介のお父さんの声にマット・デイモン、ポニョの科学者のお父さんはリーアム・ニーソン、ポニョのお母さんは(海の女神のような女性)ケイト・ブランシェットと、かなり豪華な顔ぶれ。

わたしもこの英語版『PONYO(英題)』は、 今年の6月に開催されたロサンゼルス映画祭のクロージングで、一足も二足も早く観させてもらいました。

田村英里子さんもレッドカーペット入り

当日は、ロスに住む日本人の役者さんたちとレッドカーペットを盛り上げることに。ハリウッド映画『DRAGONBALL EVOLUTION』や、人気テレビドラマ「HEROES」に出演した田村英里子さんも出席。ブルーのドレスがなかなかセクシーで、カメラマンのフラッシュをたくさん浴びていました。また、ハリウッド映画『ラスト サムライ』で渡辺謙の息子を演じ、現在はディズニー・チャンネルなどで活躍中の小山田真さんも参加。さわやかな笑顔がすてき。そんな俳優さんたちと一緒に歩くのは何だか気がひけるけど、「こんなわたしでごめんあそばせー。ダイエットしとけば良かったわー(苦笑)」とレッドカーペットを闊歩(かっぽ)して会場に入る。

でも、実はわたしはこの日、ちょっと不安だった。というのも、去年、東京で日本語版の『崖の上のポニョ』を観たとき、宮崎駿監督のほかの作品と比べて、あまり感情移入できなかったから。わたしの周りでも「終わり方があっけない」など、不満を持つ人もいたので、「アメリカで評判が悪かったらどうしよう。ロスに住む日本人としては、宮崎監督の作品にやっぱり成功してもらいたいし……」などと、まるで自分のことのように心配していた。

そんな中、いよいよ英語版がスタート! その内容はいかに!?

日本人になったマット・デイモン!?

どんな作品でもそうだけど、吹き替え版でまず気になるのが、登場人物たちのオリジナルのキャラが生かされているかどうか。

これに関しては思った以上に素晴らしかった。特に主人公の少年・宗介の英語版は、日本語版の声優さん(土井洋輝)がそのまま流ちょうな英語でしゃべっているようで、そっくり! また、宗介の母親リサ(山口智子)も、日本版のちゃきちゃきな性格がそのまま英語になっているし、ケイト・ブランシェットの海の女神もどんぴしゃり。マット・デイモンの宗介の父親、耕一(長島一茂)に関しては、あまりにもはまっているので、わたしの中では、マットは日本人になってしまったくらい。強いて言えば、ポニョのたどたどしいしゃべり方が英語では多少失われた感じがしたけど、あまり気にならなかった。

また、英語版では翻訳で説明を付け足したのか、日本語版の冒頭で、わたしにとってはわかりにくかったポニョと海の科学者と海の精の関係が、早くから「家族である」ことが理解できた。そのせいなのか、日本語版よりずっと楽しめ、映画を見終わった後は、この物語の愛と勇気と生命力に思いっきり感動。

感動したのは、わたしだけではなかった。気が付くと、会場全体が拍手喝采(かっさい)。回りのアメリカ人観客が、幸せな気分で思いっきり拍手しているのが伝わってくる。「オー、ワンダフル!」「グレイト!」

アメリカ人のポニョに対する本音はいかに!?

早速、会場に居たアメリカ人たちにインタビュー!

・前列で思いっきり拍手していたハンサムな30代の男性。
「色彩が素晴らしい! アニメーションで描かれる世界が魅力的だった。なんて楽しい世界なんだ!」

・近くにいたキュートな20代後半の女性
「とってもチャーミングな映画だわ!そしてポニョが本当に魅力的!大胆で冒険好きで。若い女性の理想像だわ」

・その恋人だと思われる知的な40代の男性
「こんなに感動した映画も久しぶり。人生の不思議と素晴らしさを教えてくれる。宗介のお母さんが小さな車で丘を走るシーンも、海底のファンタジーのシーンも両方とも人生を謳歌(おうか)している。現実もファンタジーも本当は境界線がなく、同じ世界なのだと思う」

・ポニョに似ている小さな女の子
「この映画で一番好きだったのは誰でしゅかー?」「うーんと、えーと、…ポニョ。」

・もうすぐ11歳になる男の子
「ポニョのお父さんがクールだったよ。いろいろなことにチャレンジするけれど、失敗ばかり。宗介のお母さんも、おっちょこちょいなところが、うちのママにそっくりだよ」

・50代のビジネスマン
「今まで観た映画の中で一番面白かった! 宮崎作品の中でも、これが一番楽しかった。ところで、登場人物があまり日本的に見えなかったが、これは海外を意識してそうしたのかい? アメリカで大成功すると思うよ」

・子連れの母親二人
「宗介のお母さんがリアルねー。夫が帰ってこないときのふてくされた態度も、でも、その後子どもを抱きしめたら気分が良くなって、『さあ、おやつよ』と簡単に切り替えるところなんか、うちとまったく同じよー」
「そうそう。このリアル感はアメリカの映画では見られないわ。だから、宗介のお母さんにすぐ感情移入できたわ。でも、わたしの中では、宗介がヒーローよ。もう一人息子が生まれたら、宗介という名前をつけたいくらい」

・子連れ母親Aの夫で映画製作の仕事をしている男性
「アメリカの伝統的なディズニー作品にありがちな方程式にはまっていないところが新鮮だった。アメリカのアニメだと、いわゆる善悪のキャラクターがはっきりしているが、この作品はそれがない。ポニョのお父さんも一見悪いキャラのように見えるが、本当は自分の娘であるポニョのことを愛しているんだね」

~あとがき~

映画の感想は、人によってさまざま。でも共通しているのは、ほとんどの人が、この作品については、ニコニコしながら、まるで大好きな子犬について語るような表情で話してくれたこと。今回はロス映画祭のクロージングだけあって、観客には映画関係者が多く、一般客よりも芸術的志向が高い気がしたけれど、それでも好評だったことは間違いない。アメリカの人たちがここまで日本の作品を褒めてくれるのが自分のことのようにうれしかった。また、手のぬくもりが感じられるこの宮崎作品は、CG技術が主流で、大手スタジオの商業システムが重要視されるハリウッドの中で、きらきらと輝いて見えた。この原稿が読まれているころは、元気なポニョがアメリカじゅうを駆け巡っていることでしょう。さあ、ポニョよ、走れ! 元気に走れ! そして、そんなポニョを守れ、宗介!

一足早くシアターの前に行き、パチリ。でもなんだか変な顔。
ポニョの声を担当した9才のノア・サイラスちゃん。人気アイドル、マイリー・サイラスの妹。(C) WireImage
宗介の声をつとめたフランキー・ジョナス君、8才。人気バンド、ジョナス・ブラザーズの弟。(C) WireImage
田村英里子さん。ナイスボディーで知的な魅力的な女性。アメリカのエンタメ業界でがんばっている。
レッドカーペットに集まる取材陣。「エリコ! エリコ!」と田村さんに声をかけるアメリカ人のカメラマンも多くいた。
ディズニー・チャンネルで活躍中の小山田真君。ロス在住。武術がすばらしいアクション俳優。
『燃えよドラゴン』にも出演したアクション俳優の山下正。マーシャル・アーツや武術の先生でもある。ロス在住。
ポニョが始まる前のロスの会場。
インタビューした二つのファミリー。真ん中二人が宗介の母親に共感したお母さんたち。
ノアちゃんとフランキー君。キュートなカップルです。(C) WireImage
レッドカーペットにみんな集合~!
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