ADVERTISEMENT

2004年6月

私的映画宣言

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • ツイート
  • シェア
ライター
『子猫をお願い』を観たら、無性に餃子が食べたくなって、週末に早速、作りました。うちは家族二人ですが、50個作って、全部食べます。1人で住んでいるときもやっぱり50個作って、1日で食べてしまっていました。そう書いているうちにまた、餃子が作り&食べたくなりました。大丈夫でしょうか。
ライター
先日、昨年のヴェネチア映画祭でグランプリを獲った『父、帰る』を見た。出演してる子がハーレイ・ジョエル・オスメント君似。しかも、オスメント君の『ウォルター…』と同じく父親を知らぬ子の話。自分の周りではシングルマザー願望者が多いんですけど、父親とは? 父性とは? なんてことを考えさせられる今日この頃。
ライター
ドラマ『あなたしか見えない』『共犯者』など、予想を遙かに上回る驚愕の展開で視聴者を飽きさせない三上博史主演作に惹かれる私。もちろん舞台『ヘドウィグ・アンド・アングリー・インチ』も見た。最高! 客いじりのうまいこと、うまいこと。新しいキャラを見つけたね、三上さん。営業で全国回れます。その時は追っかけさせて頂きますワ。
 ハリー・ポッターとアズカバンの囚人

人気シリーズの第3弾。監督はクリス・コロンバスから『天国の口、終わりの楽園』のアルファンソ・キュアロンにバトンタッチ。逝去したリチャード・ハリスのダンブルドア校長以外の主要キャストは続投している。また、新登場キャラのシリウス・ブラックには『レオン』のゲイリー・オールドマンが扮する。物語の中心となる魔法の村・ホグスミードや吸魂鬼・ディメンターのダークな描き方に注目。

日本公開:6月26日(丸の内ピカデリー2、他)
上映時間:2時間15分
配給:ワーナー・ブラザース映画


成長著しいダニエルというかハリー、ギャル度アップのハーマイオニー。ロンは若き日のミック・ジャガーだし、彼の双子の兄貴は『ツインタウン』時のリス・エヴァンス兄弟のようにダメダメ・イギリス男に成長。もはや誰も子どもに見えないが、青春映画として観れば、面白い。特に今回はハリーも反抗期に突入してるし、内容もダークだし、かなり大人向きだ。注目は今後も活躍が期待される超豪華新キャスト陣。ところがキャラが多くなりすぎて、個々の見せ場が薄味に。彼らの苦悩や因果関係などがほとんど描けてない。終盤のどんでん返しのテンポは良かったが、この説明の少なさでいいの? 気になったのはマクゴナガル先生のマギー・スミス。古株とはいえ、出番の少なさ、ヘドウィグ以下。


ハリーにロン、ハーマイオニー、みんなデカくなったなーとしみじみ。今回の3作目で卒業すると言ってたダニエルだけど、最後の7作目まで出ると続投宣言したとか!? そうすると、ますます"北の国から"状態で、彼らの成長を見守ることになる。とはいえ、いじめっ子役ドラコが大きくなったら、リス・エヴァンスを彷彿とさせる間延びした顔になっていたのには驚いたが。それにしても、"ハリポタ"シリーズは英国俳優総出演的なノリで、大物がぞろぞろ登場する。実を言うと、私がハリポタ映画を好きな一番の理由はそれ。とくに今回は最高だ! アラン・リックマンにゲイリー・オーリドマンにデイビッド・シューリスという、とてつもなく好きなオヤジ俳優が出演する。しかも、三つ巴の戦いをしてくれる。くぅ~っ、たまらん。そういう理由も手伝って、☆が4つになってます。


ハリポタ・ファンの胸の高ぶりを冷ますようで申し訳ないが、なぜこの作品がこんなに世界的に支持されているのか、私にゃ理解不能。今回のオープニングでも、バーノンおじさんの意地悪な妹マージに両親の悪口を言われたハリーが、怒っておばさんを風船のように膨らまして、空に飛ばしちゃうシーンなんて、度が過ぎていてる。すべてが万事、可愛げとか茶目っ気が欠如しているのよねぇ。個人的にはゲーリー・オールドマンの暴れっぷりを期待していたんだけど、それもいざ登場したら毒がない。あぁ、『レオン』の頃の危険な香りをプンプン漂わせていたゲーリーよ、カムバック!! シリーズはまだまだ続くのね。ラドクリフが大人にならないことを陰ながら祈ってます(笑)。

 ブラザーフッド

アジアで大ヒットした『シュリ』のカン・ジェギュ監督が、朝鮮戦争を舞台に切ない兄弟愛を描くスペクタクル・ヒューマン・ドラマ。徹底的な時代考証の上に再現された戦場は、リアルで臨場感あふれる。主演は『ガン&トークス』で映画デビュー、甘いマスクで人気ブレイク中のウォンビンと『友へ/チング』で演技の評価も高いチャン・ドンゴン。韓国の映画興行記録を全て塗り替えた衝撃の話題作。

日本公開:6月26日
(日比谷スカラ座1 他)
上映時間:2時間28分
配給:UIP



『プライベート・ライアン』の冒頭でも具合が悪くなった私は、ここでも戦争シーンの画面の揺れにぐったり。さらに目を覆うような残虐な場面も数々あったりして、「これ女性が観て大丈夫なのか?」と不安にもなった……が、結局、まんまと策略にハマり、号泣してしまった。「お前の靴を作りたい」とか「タダほど高いものはないんだぞ」とか、前フリとわかるような箇所がいっぱいあり、わかってはいるのだが、やっぱり泣いた。戦争はどれも良くないが、同じ言葉を話す、同じ顔をしている者同士が戦う姿は本当におぞましかった。頼りにしたい兄役ドンゴンと、かわいがりたい弟役のウォンビン。どちらかに肩入れして、「何て勝手な兄(弟)なの」と思い込んでる人が案外、多いのが興味深い。


冒頭から号泣モード全開で、最後まで「ほら泣け、そら泣け」と言わんばかりに涙のツボを押しまくる。観る前は、こんなベタな策略には絶対に乗るまいと思っていたのに、やられちゃったよー。というのも、戦争前の平和で幸せな一家の風景の描写がうまい。たとえば、その当時としては高価な革靴や万年筆など、後で効いてくる号泣アイテムが巧みにちりばめられている。とはいえ、壮絶な戦場シーンは気分のいいもんじゃない。北と南の同じ民族同士の戦いもさることながら、かつての仲間や罪のない人間を平気で殺すシーンなどは目を背けたくなる。というわけで、ウォンビンとチャン・ドンゴンが美しき兄弟愛を見せてくれる……と思って見ると、かなりヘヴィな内容でございます。


爆弾の衝撃で土が激しく舞い、カメラのレンズに血のりが飛び散ることもおかまいなしの戦争シーンを見て"韓国版『プライベート・ライアン』を作りたかったのね"とすぐに分かった。目的が明確でいいね、韓国映画。時代にほんろうされる兄弟というストーリー展開も、正直、いかにもメロドラマ好きの韓国映画で引いてしまう部分もある。ただ、これだけは認めなければならない。朝鮮戦争といういまだ哀しみ癒えない史実を、人気俳優を起用してエンターテインメントに仕上げ、かつ、韓国の興行記録を塗り替えたという功績を。日本でも昔、木村拓哉や反町隆史を起用し、特攻隊を主人公にした青春映画『君を忘れない』(95)を作ったけど興行成績は今ひとつ。そういう部分では韓国映画を見習わなきゃ。

 69sixty nine


芥川賞作家・村上龍の自伝的ベストセラー小説を映画化。『木更津キャッツアイ 日本シリーズ』の宮藤官九郎が脚本を手掛け、1969年の長崎を舞台に熱い青春を送る高校生たちの日常を綴る。監督は新人監督の登竜門である“PFFアワード”で高い評価を受けた期待の新星・李相日。村上龍の分身ともいうべき主人公・矢崎剣介を妻夫木聡が、その親友・山田正を安藤政信が演じる。昭和レトロな作品ムードや全編に流れる60年代ヒット曲の数々もポイント。

日本公開:7月10日
(東映邦画系)
上映時間:1時間53分
配給:東映




昔の人は老けていたから、妻夫木や安藤が実際は23歳と29歳だろうと本当に高校生に見える。今年30歳の加瀬亮の中学生もあり。圧倒的に楽しいと人は生き生きしているから、それが直にスクリーンに映り、青春臭が漂いまくりなのだ。原作はもっと脂ぎっていたが、クドカン・センスでそれがそぎ落とされ、ポップな青春映画に仕上がってる。いい肉を炭火で焼いた感じ。どんなに小さなキャストにも外れがいないのは、監督がきっちり演出しているからだろう。一番光っていたのは安藤。完ぺきな容姿とそれに不釣り合いな普通すぎる声のせいか、寡黙な役が多かった彼。が、今回「訛りのキツい役」もハマることが証明。訛りの強さも彼の素っ頓狂な声との相乗効果で、色っぽい。アダマちゃん、最高!


良くも悪くもクドカンの世界が炸裂! なので、1969年という時代設定もファッションのように使われ、役者たちもその中で楽しく演じているように見える。もちろん、妻夫木クンのはじけっぷりは最高。安藤クンのひょうひょうとした演技もいい。その他、面白キャラが続出なのだけど、妻夫木の父親役に柴田恭平ってのにはびっくりした。TVの「はみだし刑事」の軽さがそのまんま。鬼教師役の嶋田久作が短パンはいて、ブチ切れまくるシーンも笑えます。劇中流れる『花の首飾り』を当時歌ってたザ・タイガースの一員、岸部一徳が教員役で出てくるのもお遊びか。まあ、脱糞シーンとかそこまでやらなくてものシーンも多々だが、人の生き死にでヒットを飛ばす作よりは、健康的な青春映画で観客を楽しませる方が、作り手の考え方としても健康的な気がする。


李監督は、2000年のPFFアワードを受賞した『青 chong』を見て以来、注目していた監督。いきなりのメジャー進出で「大丈夫かいな?」と心配していたが、杞憂に終わったようだ。69年という時代の空気感、ハチャメチャな青春映画ならではのノリのいいテンポ、妻夫木聡をはじめとする俳優たちの生かし方。どれをとってもパーフェクト。映画賞を総ナメにした『GO』の衝撃再び……、いや、それ以上の傑作かも。唯一気になったのは安藤政信。高校生を演じるには、こけた頬が青年を感じさせる。何より妻夫木と並ぶと、彼の持つ旬のオーラに負けているようで……。それくらい、妻夫木の弾けぶりが良かったということなんだけど。今年の主演男優賞は妻夫木でキマリ!

 ウォルター少年と、夏の休日

かつては壮大な冒険を繰り広げていたという2人の老人と、聡明だが母親の愛に飢えた14歳の少年の心温まる交流が綴られるヒューマン・ドラマ。監督、脚本は『アイアン・ジャイアント』の脚本家ティム・マッキャンリーズ。出演は『サイダーハウス・ルール』のマイケル・ケイン、『ジョンQ』のロバート・デュヴァル、『A.I.』のハーレイ・ジョエル・オスメントら。15歳になったハーレイ少年と映画界を代表するベテラン名優2人のやりとりが見どころ。

日本公開:7月10日
(丸の内ピカデリー2 他)
上映時間:1時間50分

配給:日本ヘラルド映画





本作の見どころはデュヴァルとケインのダブル親父のカッコ良さに尽きるのだろうけど、私としては久々のオスメントくんに胸いっぱい。何歳になっても私にとっては泣きツボの彼。冒頭の車に乗っている場面から、うるうる。最後も彼がただ、一生懸命、走っているだけでうるうるうる~。これがまた14歳の割に、全く自立してない(アメリカ人だよね?)、かわいらしい役柄なのだ。物語はテンポよく、おじいさんたちのホラ話は『ヤング・インディ・ジョーンズ』調。金かけて、バカバカしく作っているのが、エンターテインメントしてて面白く、どうでもいいオチも生きてくる。最後にチラっと登場する『24-twentyfour-』のバイト君、エリック・バルフォーにも満足。私ブーム中のイケメン。


個人的に生涯現役、元気なジジイの話は好きです。しかも演じるのが、マイケル・ケインとロバート・デュヴァルってのがいい。何しろ、『ゴッドファーザー』でアル・パチーノ扮するマイケルを補佐する彼の冷静沈着ぶりに、私は惚れました。まあ、その時の彼とはずいぶん違うが、ジジイになっても彼の醸し出す渋さはいいなと。聞くところによると、すんごく若い彼女だか、奥さんがいるようなので、劇中、「まだまだ若いヤローには負けないぜ」と頑張るあたりは、案外、地かもしれない。マイケル・ケインのとぼけた演技もさすが名優の味だ。子役としては難しくなってきたオスメント君も、ちょうど少年から大人になるという物語を演じるのにはいい年齢。ただし、次はこんないい作品がうまく回ってくるか……。彼の変貌というか成長ぶりがイケてないとマズイかも。


マイケル・ケインとロバート・デュヴァルが兄弟役ってだけでもワクワク感いっぱいなのに、想像以上の食えない爺さんぶり。ライフルをぶっ放して遊ぶためにライオンを飼ったり、若造にケンカの仕方を実戦で教え込ませたり。その年相応を考えない、やんちゃぶりがナイス! 大工だったウチの爺ちゃんを思い出して泣けてきた。ウチの爺ちゃんは、おねしょすればお小遣いくれるような人。自分の自転車にロープで私の三輪車をくくりつけて遊びに連れていってくれたものの、後を考えずにカーブを曲がり、私は三輪車もろともドブへどぼん。お婆ちゃんとウチのおかんに大目玉くらってたこともあった。そんな思い出がない人も、懐かしさでいっぱいになるようなステキな映画です。

 白いカラス
ピュリッツアー賞作家、フィリップ・ロスの傑作小説を『クレイマー、クレイマー』の名匠、ロバート・ベントンが映画化。情感豊かに生涯をかけてある秘密を隠し通した男の物語を綴る。孤独な老教授を演じるのは、『ハンニバル』のアンソニー・ホプキンス。彼が全てを賭けて貫こうとする最後の愛の相手には、実力&美貌で今やハリウッドの看板女優に登りつめた、『めぐりあう時間たち』のニコール・キッドマン。心に傷を持つ人々をリアルに描いた珠玉の人間ドラマが胸を打つ。

日本公開:6月19日
(みゆき座 他全国東宝系)
上映時間:1時間48分
配給:ギャガ・ヒューマックス共同配給




もしかして、これはサスペンス? 謎が何で、何が解決したのかすら、最後までわからずじまい。アンソニー・ホプキンスが実は黒人という、キャスティングのリアリティのなさ。ダンスシーンはとてもキュートで悪くなかったが、黒人のリズム感とは相当、思えない。そして最大のミスキャストがニコール・キッドマン。この映画こそ、メグ・ライアンに代わるべきだった。ニコールは顔の美しさが災いしてか、付け鼻なしだと、男を踏み台にするような女しか似合わない。実際もそうだろうし……。この役のようなバカな男で人生をふいにするような役はできないのだ。その分、メグは実生活もメタメタにしちゃうような、根っからのダメ男好き。計算高いニコール様では、こういうだらしない感覚は出せない。


高名な学者が「黒人である」という自分の出自を偽り、隠し続けてきた。『トリビアの泉』的にはかなり、ヘぇー度が高い内容で、興味を引くはずだ。しかも、見応えありそうな豪華キャストだ。なのに、盛り上がり感が薄い。まあやっぱ、アンソニー・ホプキンスとニコール・キッドマンが恋仲になるってところに無理を感じる。ことにニコールの痩せぎすな体をホプキンスのシワワな手が這うベッドシーンは不気味だし、ニコールが教養があまりない女に見えるかというと、それもちと難しい。で、主演二人のミスキャストもさることながら、エド・ハリスとゲイリー・シニーズの名優二人もちっとも生かされていない。高尚な原作であるということはわかるけどね……。


離婚してからのニコ様、頑張ってますね。『ドッグヴィル』のような意欲作にもどんどん出演して、たくましいッス。でもそろそろ自分に合う作品か否か、見極めなきゃ。『コールドマウンテン』同様、ド田舎の町でつつましく暮らす女性の役は、陶器のような素肌のあなたにゃ不釣り合い過ぎる。まして30歳も離れたアンソニー・ホプキンスと恋に落ちる役どころなんつぁ、無理がありアリ。そもそも本作品が描くべき主題はコールマン(ホプキンス)の血の問題であって、ニコールのドラマは邪魔以外何物でもない。スターを起用して、どっちも立てなきゃいけないから主題がブレてしまったのね。ニコールじゃなく、マーシャ・ゲイ・ハーデンあたりを起用しときゃ良かったのに。

イラスト:micao

 

 

ADVERTISEMENT
  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • ツイート
  • シェア
ADVERTISEMENT

おすすめ映画

ADVERTISEMENT

人気の記事

ADVERTISEMENT

話題の動画

ADVERTISEMENT

最新の映画短評

ADVERTISEMENT