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『Gメン』瑠東監督、岸優太と自分をさらけ出す演技レッスン

映画『Gメン』メイキングより岸優太と瑠東東一郎監督
映画『Gメン』メイキングより岸優太と瑠東東一郎監督 - (C) 2023「Gメン」製作委員会 (C) 小沢としお(秋田書店)2015

 「ナンバMG5」シリーズなどで知られる小沢としおの漫画を実写映画化する『Gメン』(公開中)で、映画初主演を務めた岸優太。本作で演じるのは、“彼女出来る率120%”と噂の男子校に意気揚々と転入するも、問題児ばかりが集まった最底辺クラス・G組にあてがわれた高校1年生の門松勝太。これまでドラマ「おっさんずラブ」「unknown」などの演出を手掛け、本作のメガホンをとった瑠東東一郎監督が岸と臨んだ撮影の裏側を明かした。

岸優太×瑠東東一郎監督メイキング写真

 本作は、問題児ばかりが集う武華男子高校1年G組に転入してきた主人公・勝太と仲間たちの恋、友情を描く青春エンターテインメント。岸演じる勝太は、何事にも全力・直球で、常にポジティブなアツい男。初めはG組のしょっぱい現実に愕然とするも、「彼女を作る」目標のもとクラスを一つにまとめ上げていく。勝太はG組の面々のみならず先輩にもかわいがられる愛されキャラだが、陽気な雰囲気とは裏腹にケンカにはめちゃくちゃ強い。

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 岸の映画初主演作とあって「もちろんプレッシャーはありましたけど逆に燃えるというか。誰も観たことがない、撮ったことがない岸くんの魅力をこの作品に詰め込んでやろうと」というアツい思いを抱いていた瑠東監督。岸と組むのは本作が初だったが、岸のイメージをこう語る。

 「パブリックイメージだとちょっと天然でかわいい人、という感じがあって、きっと素敵な人なんだろうなと楽しみにしていたんですけど、実際にご一緒したら本当に裏表のない方で勝太そのもの。すごくピュアなんですよね。この作品においては岸くんの魅力を勝太に詰め込むことが大事だったので、岸くんと役の境目が見えないような芝居を目指しました」

 岸と共に目指したアプローチは「岸くんが勝太に近づくのではなく、勝太を岸くんに寄せていく」ことだったというが、具体的にはどんな作業だったのか。

 「例えば、岸くんに“このシーンのこのセリフ、どう感じた?”と質問してかみ砕いていくことです。この台詞があるからこうする、こうしなければといった固定概念を崩す。僕が考えたイメージを演じてもらうのでもなく、あくまで岸くんが勝太として感じた感情を大事にすることで、なるべく芝居にならないように撮っていく。岸くんはそもそも人間力が高いですし、芝居一直線だったわけではないのでそのぶん柔軟。岸優太の魅力を勝太ならより広げられると思ったので、彼とずっと向き合っていくことを大事にしました」

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 岸をはじめ、メインキャラクターとなるG組5人グループを演じる竜星涼矢本悠馬森本慎太郎りんたろー。とは演者同士の距離を縮める策として、クランクイン前にワークショップ(演技レッスン)を行ったという。

 「当たり前ですけど役者って、初めて会う人にいきなり“あなたのことが好きです”って言わなきゃいけない仕事ですよね。僕の場合、なるべく撮影までにそれが自然に言えるような関係を作るようにしていて。今回は、G組のほかレディース集団のヘッドを演じる恒松祐里さんも含めて2日間、4、5時間ずつ行いました。G組の5人って仲間同士の熱量が肝になるのですが、それは台本に書くだけじゃ表現できないんです。本来は飲みに行って腹を割って話すというのもいい方法なんですけど、撮影当時はコロナ禍だったのでそれもできなくて。これは僕の方法なんですけど、例えば1対1で向き合って“相手のLOVEなところを3つ、5分内で見つけてください”といったお題を出すんです。初めは大体さしあたりのない会話になる。だけど、LIKE(好き)を超えた本当のLOVEを見つけようと思うと、それなりに深い質問をする必要が出てくる。例えば飲み会だと2次会、3次会とかになると段々踏み込んだ話になっていきますよね。“今までどんな恋愛してきたの?”とか。そういう会話を重ねることで自分をさらけ出す、いわばゲームです」

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 そして、本作の大きな見どころが岸のアクロバティックなアクションシーン。本人の希望もあり、岸が全シーンノースタントで演じている。アクションシーンは、瑠東監督の映画『劇場版おっさんずラブ ~LOVE or DEAD~』やドラマ「浦安鉄筋家族」にアクション監督として参加した、スタントコーディネーターの富田稔が中心となって構築した。

 「当然スタントダブルを考えていましたが、岸くんは“できてしまう”んですよね。吹替えを入れるか確認したんですけど、彼は“やる”と。なので安全面を十分考慮しながら、全シーンご本人にやっていただきました。アクション練習は1か月前から行い、僕もなるべく立ち合うようにしていたんですが、岸くんの動きってめちゃくちゃ速くて、しなやかで美しいんですよね。初めは大きいパンチをしたりドカンと吹っ飛ぶとか、ダイナミックな攻撃やアクションが中心だったんですけど、富田さんともっと岸くんのポテンシャルに合わせたアクションを取り入れようという話になって。速い動きやアクロバティックな動き、回転やバク転を足していきました」

 女の子が大好きだけど純情で不器用。誰に対しても分け隔てなく接し、「こんなヤツがそばにいてくれたら!」と願わずにいられない、人情に厚い勝太のキャラクター。そして、岸の身体能力を生かしたバトルシーン。岸の満を持しての映画主演作は、俳優・岸優太の集大成とも言うべき快作に仕上がった。(編集部・石井百合子)

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