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「サンクチュアリ -聖域-」一ノ瀬ワタル、猿桜以外は演じられないかも…【インタビュー】

一ノ瀬ワタル
一ノ瀬ワタル

 神秘のベールに包まれている大相撲を題材にしたNetflixシリーズ「サンクチュアリ -聖域-」で主人公の新人力士・猿桜役を務めた一ノ瀬ワタル。約2年半の役づくりから撮影までを振り返り、本作への熱い思いを語った。

【画像】すごすぎ!「サンクチュアリ-聖域-」力士役のキャストたち

 借金・暴力・家庭崩壊……と人生崖っぷちで荒くれ者の猿桜役をオーディションで勝ち取った一ノ瀬は、佐賀県出身の現在37歳。元キックボクサーで俳優に転身した経歴を持つ。

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 猿桜を演じたい気持ちは人一倍強かった。「自分もちゃんとした家庭環境ではなかったっていうのもあって。相撲ではなくキックボクシングだったんですけど、いろいろあって田舎から飛び出ていくところは猿桜とすごくリンクしたんです。母子家庭で、余(貴美子)さん演じるお母さんと、母がなんとなく似ているところもあって。そういうところですごくビンビンきてましたね。最初の時から」

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一ノ瀬ワタル演じる猿桜 - Netflix シリーズ「サンクチュアリ -聖域-」独占配信中

 オーディションで強烈にアピールして猿桜役に決まった一ノ瀬は、江口カン監督と、役について何度も話し合った。「二人で猿桜をつくっていったという感じでした。猿桜にとっての相撲って、一ノ瀬ワタルにとっての江口カン監督だったんだと思います。この人を信じるしかない。そういう気持ちが俺にも、監督にもあったんだと思います。もちろん、二人で意見が衝突する時もあったんですけど、でも心底では愛し合ってたと思いますね(笑)。いまだって、監督に会うと多分泣いちゃうかもしれないですし。愛はえげつないです」

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 江口監督との徹底的な役づくりは一ノ瀬に大きな影響を与えた。「今後、俳優をやっていく上で結構悩むなと思ったんです。全部猿桜のように(役を)ちゃんとつくれたらいいんですけど。いまは猿桜の役のつくりかたの思い出し作業に入っているというか……。でも、『サンクチュアリ』以降の作品も、芝居の根底はやっぱり変わりました。それは江口さんのおかげだなと思います。育ててもらいました」と感謝する。

 激しい稽古と迫力のある取組シーンが見どころである本作。一ノ瀬ら力士役のキャストは、説得力を持たせるために長期にわたって相撲稽古、体重増加と肉体改造を行った。

 「80キロ後半くらいから始めたんですが、栄養士さんが付いていたので、管理をしてくれていて。でも、105キロぐらいの壁があったんです。どれだけ食べても増えない。1食抜くと4キロくらい落ちたり。でも、そこで元力士たちの知識で体重の壁は越えられました。力士の方々って、四六時中ご飯を食べているイメージですが、実は1日2食で、食べた後にちゃんと寝るみたいなんです。食って休んでトレーニング、食って休んでトレーニング……がすごく大事」と目標体重に到達した。

 相撲の稽古も本気だった。「撮影期間もすごく長かったのですが、そのおかげで自分の相撲もだんだん成長していけたんです。相撲コーディネーターの網谷(勇志)さんや、維新力(浩司)さんに褒めてもらうことがあるんです。『立ち合い強いっすね~』みたいな。そういう時はうれしかったです」と語る。

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 稽古のシーンでは四股(しこ)を踏む場面が何度もあるが、「結構楽そうに見えるんですけど、四股はホント大変です! オーディションの時、足が上がらなくなるくらい四股を踏む機会があって。その時は『絶対この数はこなしてやる』と思っていたので、絶叫しながら四股を踏んでました」と熱弁。

 稽古を重ねると変化もあった。「やっぱりずっと踏んでいるとできるようになってきますし、『なんで四股が大事になってくるのか』っていうのを一個一個自分の中で分析しながらやっていました。普通に相撲を取っているだけじゃもう間に合わないですから」

 そんな苦しくも成長を見せた稽古では、力士役のキャスト陣と仲を深めることになっていく。「2年半、一緒にやっていると、部活みたいな感じで仲良くなるんですよね」

 しかし、撮影の日は猿桜と同じように共演者たちと距離を置き、極力話をせずにいたそうで、「(撮影では)そこの輪に入れないっていうのはありましたね。そのときは結構寂しかったです」と明かす。

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猿桜 - Netflix シリーズ「サンクチュアリ -聖域-」独占配信中

 長期の役づくりと撮影が行われた本作。「あれだけ相撲稽古をやらせてくれて、怪我もしないように万全に整えてくれて」とNetflixの手厚いフォローは大きかった。「メディカルトレーナーに『アイシングがすごく大事です』と言われ、炎症を抑えるためにも稽古が終わったらすぐに冷やしましょうと、スタジオの外に氷が入った簡易プールが用意されたり、国技会館セット横にも力士用のシャワーを作ってくれたりと、手厚くフォローしてくれるのはNetflixならではだよな、と思っていました。ジムに行かなくてもいいようにスタジオ建物の一室にトレーニングルームとマッサージルームも用意してくれました」と整った環境で相撲と演技に向き合うことができた。

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 劇中、人に心を開かず笑顔もあまりない猿桜だが、取材中の一ノ瀬は人懐こい笑顔で「ちゃし(ごっつぁんですの変形した言い方)」を連発。役とギャップある姿を見せる。「もう口癖になってます(笑)。ほかの現場へ行っても、『ちゃし、ちゃし』言っちゃいますから。そしたらその現場のスタッフや共演者の方々も『ちゃし、ちゃし』って言っちゃう」と破顔。

 ほかにも役の影響を受けているか? という質問には、「癖というか、コンビニ行く時ぐらいだったら、泥着(どろぎ)でパッと出る、みたいな。今はなくなりましたが、ほかの現場に行く時もしばらくは浴衣で行っていました。浴衣の楽さというか、機能的にもすごくいいなと。脱ぐ時も着る時も楽だし。浴衣って二枚重ねになるからお腹が冷えない。しかも帯を巻けば、さらにあったかい! 浴衣の便利さはすごい。あとは、いまだにちゃんこが食べたくなります(笑)」と笑顔で答えていた。

 猿桜に全力全身で挑んだ一ノ瀬。ここまで役に入り込んだことはなかったそうで、「猿桜は役を抜くのが大変だったかもしれないです。終盤、監督と『猿桜以外はもしかしたら今後演じられないかもしれないです』と話しました。集大成だったと自分の中では思っています」と晴れ晴れとした表情で語っていた。(編集部・梅山富美子)

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