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「舞いあがれ!」短歌が繋ぐ脚本の魅力 歌人の顔も持つ桑原亮子の仕掛け

(C) NHK

 第20週に突入した連続テレビ小説「舞いあがれ!」。物語の随所に短歌が効果的に用いられており、歌人でもある脚本の桑原亮子の筆力が光る作品となっている。劇中での短歌が果たす役割などについて、制作統括を務める熊野律時チーフ・プロデューサーが語った。

【画像】史子&リュー北條もいいキャラクター!

 連続テレビ小説の第107作となる「舞いあがれ!」は、ものづくりの町・東大阪や五島列島でさまざまな人との絆を深めた舞(福原遥)が、空への夢に向かっていく姿を描く物語。20週では貴司(赤楚衛二)の短歌に魅せられ、古本屋・デラシネまで貴司を訪ねてくる秋月史子(八木莉可子)の登場を機に、舞と貴司の関係にも微妙な変化があらわれている。

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 熊野は短歌を使った演出について「貴司は短歌を詠む人で、短歌は31文字という短い言葉の中に自分の感じたことが凝縮してあらわれるもの。歌人でもある桑原さんにしか作れない世界観だなと改めて思いました」と脚本を担当した桑原の存在が大きかったと話す。

 歌人としても活動し、これまでドラマ「心の傷を癒すということ」などの作品で繊細な物語を紡いできた桑原。その世界観について「桑原さんの作る物語の独特の魅力が20週に凝縮されている」と熊野は述べる。「短歌には、詠む人の気持ちが如実にあらわれる。さらに二重三重の意味が込められていたりして、奥が深い。桑原さんの描く物語を見て、こちらも『ああ、そういうことだったのか』と思いました」

 なかでも貴司が舞に贈った短歌「君が行く 新たな道を 照らすよう 千億の星に 頼んでおいた」が20週で改めて存在感を増した。「その短い言葉の中にある詠んだ人の思いがどんな風に受け取られ、伝わっていくのか。そういったことがドラマの中にきちんと反映されていて、驚かされます」と桑原の脚本の妙に舌を巻く。

 そして、短歌をめぐって登場する人物も個性的だ。貴司の短歌に魅せられ訪ねてくる史子をはじめ、短歌に助言をする編集者のリュー北條(川島潤哉)の存在など、その言動や個性がドラマに大きな影響を与える。貴司はリュー北條が歌集のために出した「新しい短歌を10首」という課題を前に苦悩する。

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 過去に「おちょやん」で映画監督のジョージ本田を演じ、その演技もきっかけの一つとなって「舞いあがれ!」へのキャスティングが決まったという川島。熊野は「今回もきっとリュー北條を面白く演じてくださるだろうなと思いました。短歌の編集者として短歌を愛していて、いいものを出したいという気持ちがちゃんとある人。なかなか殻を破ってくれない貴司に対して挑発的な言い方もするのですが、貴司のいろんな面を引き出して、貴司を歌人として花開かせたい。そんな思いを持っている」と紹介する。

 熊野はそのうえで「短歌の歌集は1,000部ほどしか売れないのが普通だそうですが、短歌をもっと広く知ってもらいたいという思いがリュー北條の根底にあるんです。だからこそ貴司の才能がもっと世にでるものだと彼は信じている。桑原さんもリュー北條のキャラクターをすごく面白いと思って書いているようです」と述べる。

 続けて「ここまでの放送内容だと『なんだあいつは!』と思われているかもしれません(笑)。けれど、20週までくるとリュー北條が実は貴司のことを一番評価している人なんだと気づけると思います。川島さんにはユニークでとても味のあるキャラクターにしてもらえたなと思っています」としみじみ語った。(取材・文:名鹿祥史)

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