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田中裕子、コロナ禍で涙の決断 久保田監督「あの時の光景は一生忘れない」

久保田直監督、ダンカン、尾野真千子、安藤政信
久保田直監督、ダンカン、尾野真千子、安藤政信

 田中裕子主演の映画『千夜、一夜』(10月7日公開)のプレミア試写会が5日、都内ヒューマントラストシネマ渋谷で行われ、尾野真千子安藤政信ダンカン、そして久保田直監督が来場。コロナ禍で撮影中断を余儀なくされた本作だったが、その裏で下した田中の苦渋の決断について久保田監督が明かす一幕があった。この日は主演の田中も来場予定だったが、体調不良のため急きょ欠席となった。

【画像】イベント中、謎の壺を取り出すダンカン

 日本では毎年数万人規模で警察に届け出がされる行方不明者を題材にした本作。北の離島の港町を舞台に、30年前に姿を消した夫の帰りを待ち続ける登美子(田中)と、同じように失踪した夫(安藤)を捜す奈美(尾野)の出会いが描かれる。

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 田中のイベント欠席を踏まえ、ダンカンが「皆さん怒ってないですか? 田中裕子さんを目当てに来たのにお前らかよとスゴく怒られそうですが、事情があって来られません。その代わり特別に皆さんのために、幸せになれる壺を持ってきました」とポケットから謎の壺を取り出して会場を沸かせる一幕も。

 久保田監督にとって本作は、田中も出演した2014年公開の映画『家路』以来、8年ぶりの新作となる。「前作が劇場公開されてから、またもう1本作りたいと思い走り始めたんですけど、なかなか出資が集まらないなどありまして、クランクインまで6年かかったんです」と切り出した久保田監督は、「やっとの思いでクランクインできたんですが、撮影を開始してから5日目で(田中)裕子さんから、どうするべきか話し合いましょうということになった」と述懐。

 撮影当時はロックダウンという言葉が使われ始め、人々が新型コロナウイルスに対して大きな不安を抱いていた時期。久保田監督自身は、ここで一度撮影が止まってしまったら再開は難しいだろうとの思いで、ギリギリまで撮影続行を熱望していたという。

 撮影地である佐渡島は感染者ゼロだったが、田中が「東京からキャスト、スタッフが来た時に、もしもその中の誰かが感染していて(撮影地の)佐渡島の人に移してしまったらどうなるのか。お世話になっている佐渡の人たちに迷惑をかけてはいけない。そんなことをしたらもう二度とこの映画を撮影することはできないだろう」と監督に諭したという。

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 そんな田中の苦渋の決断により、撮影は一旦延期となった。「その後、スタッフ・キャストのみんなに集まってもらって。中断を伝えたんですけど、その時に裕子さんが手を取って『健康でさえいれば必ず』と涙を流しておっしゃってくださった」と振り返る久保田監督は、「僕はたぶん初めて人前で号泣するという醜態をさらしてしまったんですけど、その時は(尾野)真千子さんもいらっしゃって。真千子さんも泣きながら『わたしも絶対に裕子さんと芝居をしたい』と言っていた。あの時の光景は一生忘れないなと思いますね」とかみ締めるようにコメント。
 
 それから2年ほど経って撮影再開の運びとなった。時間はかかったが、それゆえに「脚本も見直すこともできましたし、新たな素晴らしいキャスト、スタッフに参加してもらうこともできた。年月をかけたからこそ、良い作品になったんじゃないかなと思っています」と誇らしげに語る久保田監督だった。(取材・文:壬生智裕)

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