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「ウルトラマンダイナ」を継承した新たな物語へ…「ウルトラマンデッカー」武居正能監督の挑戦

「ウルトラマンデッカー」はシリーズの王道的なストーリー!武居正能監督にインタビュー » 動画の詳細

 ウルトラマンシリーズ最新作「ウルトラマンデッカー」(7月9日あさ9時スタート・テレビ東京系)のメイン監督を務める武居正能。「ウルトラマンR/B(ルーブ)」のメイン監督、直近では『ウルトラマントリガー エピソードZ』を手掛けるなど、現在のニュージェネレーションヒーローズには必要不可欠な存在の武居監督が、メイン監督としての作品への取り組み、新シリーズの見どころについて語った。

【動画】「ウルトラマンデッカー」武居正能監督のこだわりとは?単独インタビュー

「ウルトラマンダイナ」の要素を入れつつ、全く新しい物語へ

メイン監督を務める武居正能

 通常、特撮ドラマは2話持ちで、複数人の監督がローテーションでまわしていくのが常だが、中でも立ち上げるとなるエピソード(※本作では第1~3話)を手掛ける「メイン監督」は、作品カラーを決定付ける重要なポジションである。武居監督は「まずは世界観を決め、具体化していくのが一番の仕事として挙げられます。それと共にストーリーを含め、それぞれのキャラをどう描いていくかの指針、方向性を決めていきます」とメイン監督としての大きな役割を語る。

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 前作「ウルトラマントリガー」は「NEW GENERATION TIGA」の副題を冠して、“令和版ティガ”を目指した。本作でも同様のコンセプトを継承しており、公式ホームページでは「『ウルトラマンダイナ』が放送開始25周年を迎える今年、そのエッセンスも取り入れながらお届けする」と謳われている。現状判明している限りでは、ウルトラマンのデザインや各タイプの設定、変身アイテム、地球を襲来する宇宙浮遊物体「スフィア」などから「ダイナ」の要素を見出すことができる。

 「『ダイナ』のエッセンスや設定を踏襲した作品を作ることが大前提のテーマとしてもちろんあるのですが、僕としては『ティガ』と『トリガー』って、結果的には違う作品になったと思うんですよね。ですから、今回も『ダイナ』の要素は入れつつも、『ウルトラマンデッカー』という全く新しい物語を作っています」と武居監督は「ウルトラマンデッカー」ならではのカラーを強調する。

 「ティガ」と「ダイナ」がそうであるように、「トリガー」の純全たる“続編”である点も重要だ。メンバーや隊員服、一部ガジェットこそ一新されているが、GUTS-SELECTは組織としての設定や名称もそのままに再登場する。「名称こそ同じですが、メンバーが変れば考えが変わるわけですし、あくまで全く新しいチームとして描いています」と武居監督は本作ならではの防衛隊に拘りを見せる。

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 近年は「ウルトラマンZ」の対怪獣ロボット部隊ストレイジが人気を博しており、防衛隊に軸足を置いた作品としては3年連続。新生GUTS-SELECTの活躍にも俄然注目が集まる。「今回は、より防衛隊らしく、戦闘に即した部隊を目指していますが、『Z』のストレイジのようにリアル志向を狙っているわけではありません。大事にしたいと考えたのは、ウルトラマンシリーズならではの架空の組織としての部分です。部隊としての特色は打ち出していきますが、ちょうど『ティガ』『ダイナ』『ガイア』、そして私自身が助監督時代に関わっていた『コスモス』辺りの平成ウルトラマンシリーズの防衛隊が持ち合わせていた部隊感、雰囲気を前面に出していきたいと思っています」

長年構想していたアイデアが反映された主人公像

GUTS-SELECTメンバーも一新 - (c)円谷プロ (c)ウルトラマンデッカー製作委員会・テレビ東京

 ウルトラマンデッカーに変身する主人公アスミ カナタについては、祖父の営むせんべい店で働く青年がスフィアの襲来を前にして光を手にし、その力を役立てるべくGUTS-SELECTに入隊するというアウトラインが発表されている。これは「R/B」以前から監督が構想していたアイデアが反映されたものだという。

 「『R/B』では、一般人がウルトラマンになった後も、一般人として戦っていましたが、『デッカー』では一般人であった主人公が防衛隊の意義に気付き、GUTS-SELECTに入隊します。隊員としての活動を通じて、人の命を守り、地球を守る中、戦うとは何か? ウルトラマンとは何か? と向き合い、主人公の心境が変化していきます。特に今回、隊員を主軸とした物語を展開する上で、人間としての成長をじっくり描きたいと思いました」。その一方で「せんべい屋の孫」という庶民的なプロフィールからは、かつてない主人公像が期待できそうだ。「個人的にちょっと面白いかなと思いまして(笑)。恐らく浅草辺りの老舗の跡取り息子なんでしょうが、周囲に好かれ、親しみやすいキャラクターにしたいと思い、そういう設定しました」

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 武居監督が「ポテンシャルが高い」と期待を寄せるのが、主演の松本大輝である。「僕らが狙っているカナタのキャラクターと近いものを持っていて、撮影を経て非常に力強い主人公像を作り上げていっています。僕らがやるべきことは、いわばチューニングを合わせるような作業ですね。特に特撮作品で難しいのは、誰も実際に怪獣を見た人がいないことです。演出する立場としては、役者がイマジネーションを働かせて、目の前にいる怪獣にどう立ち向かっていくか、という緊迫感を出してほしい。それを理解して演じるハードルは高いけど、松本くんはすごく真摯に取り組んでいますね」

タイプチェンジは差別化を徹底

ウルトラマンvs怪獣の肉弾戦にもこだわりが! - (c)円谷プロ (c)ウルトラマンデッカー製作委員会・テレビ東京

 ウルトラマンデッカーについては、フラッシュ、ストロング、ミラクルの3タイプが存在し、それぞれの得意技や特殊能力で描き分けられるが、腕をクロスして放つウルトラマンと言えば……な光線技を使うのは基本設定としてフラッシュタイプに限定するなど、徹底して差別化が図られている。武居監督は「それぞれのタイプを浮き立たせるために、あえてそういう設定にしています」とその意図を語る。またデッカーといえば、胸の宇宙模様に目が引く。「変身シーンでも、この宇宙模様を生かしており、造形面ばかりでなくキャラ付けとしても重視しています」と星の輝きをモチーフとした図案が、様々な形でビジュアルイメージを打ち立てていくようだ。

 ウルトラマンシリーズの魅力といえば、特撮を駆使して描かれるウルトラマンと怪獣のバトルである。「ウルトラマンと怪獣同士がぶつかり合う際の肉感はかなり意識しています。ウルトラマンといえば、どうしても光線技がメインといった見え方になりがちですが、遠距離で光線を撃ちながら戦うのではなく、実際にキャラクタースーツがあるわけですし、できるだけウルトラマンと怪獣をコンタクトさせ、また怪獣の存在感や強さを描くことも重視しています。私の担当回に登場する新怪獣は、ウルトラマンよりできるだけ大きくし、怪獣の持つ重量感を表現したいと思っているので、期待してほしいです」

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 現行のニュージェネレーションシリーズでは、風来坊が主人公であったり、家族をテーマにするなど、作品毎に切り口を大胆に変えてきたが、「今回は防衛隊を主軸に置いたことで、王道のストーリーを楽しんでもらえると思います」と胸を張る。とりわけ本作ではアスミ カナタ、キリノ イチカ、リュウモン ソウマの三人を中心にした、青春物語的な側面も持ち合わせており、監督は「若者たちの躍動」をひとつのテーマとして掲げる。また、ニュージェネレーションシリーズではテレビアニメでよくあるシリーズ構成のポジションを置き、巧妙に伏線を張るなど縦軸も特徴となっているが、本作では「1話観ただけで面白いものを目指し、逆に単独で分からないものは作りません。その上でシリーズを通して観れば大きな流れが分かるようになっています」と一話完結形式だった、かつてのウルトラマンシリーズの良さも取り込んでいくと明言している。(取材・文:トヨタトモヒサ)

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