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多言語情報を提供!ユニバーサルな時代を先行く東京国際ろう映画祭

第三回のテーマは「異質」。ろう者の視点で厳選したユニークな32作品を9日間(オンライン上映など)で一挙に上映する。
第三回のテーマは「異質」。ろう者の視点で厳選したユニークな32作品を9日間(オンライン上映など)で一挙に上映する。

 ろう者の視点で選んだ作品を上映する第3回東京国際ろう映画祭が12月4日に開幕する。コロナ禍の影響を鑑み、今年は東京・渋谷ユーロライブとオンラインでのハイブリッド型での上映となる。同映画祭は作品内容だけでなく、全作品日本語字幕・英語字幕付きで、視覚障害者向けの音声ガイド付きもあれば、トークやシンポジウムでは日本手話・アメリカ手話・国際手話など多言語での情報支援を実施。ユニバーサルな時代を牽引する映画祭として注目したい。

【動画】『きこえなかったあの日』予告編

 同映画祭はろう者の社会や芸術の発展と育成、さらには誰もが自由に映画と芸術の興味を共有できる場と聴者とろう者の相互理解の場を創出することを目的に2017年にスタート。隔年で開催されており、今年のテーマは「異質」。公式サイトでは「異質さと出会ったらあなたはどうしますか? “異質”はあなたにとってどんな存在ですか? そうした問いを静かに投げかけるような映画作品を皆様にお届けしていきます」とうたっている。

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選出11作品
19の国と地域からの公募より11作品を選出!

 会場版とオンライン版では上映作品が若干異なる。両方で上映されるのが公募作品。今年は19の国と地域から41作品の応募があり、うち11作品を選出。うち8作品の監督は、ろう者・難聴者・CODA(ろう者を親に持つ聴者)だ。さらに『愛とキスマーク』(ミャンマー)のように、コロナウイルスの検疫のためにホテルで出会ったろう者と聴者の女性が、携帯のテキストメッセージなどを使って交流するうちに惹かれ合う“今”を捉えた作品もある。

 一方、会場では劇場公開を控えた作品の先行上映や日本初上映作品が観られるのが特徴だ。一つが、文化庁の平成30年度(2018年度)「戦略的芸術文化創造推進事業(共生社会実現のための芸術文化活動の推進)」および令和元年・2年度「障害者による文化芸術活動推進事業(文化芸術による共生社会の推進を含む)」の採択事業として行われているプロジェクト「育成×手話×芸術」の一環として製作された牧原依里監督『田中家』と今井ミカ監督『ジンジャーミルク』。牧原監督と今井監督は自身もろう者でもある。

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 オンラインではろう者監督特集があり、その中で令和3年度文化庁映画賞の文化記録映画部門で優秀賞を受賞した今村彩子監督『きこえなかったあの日』と『友達やめた。』の上映と、今村監督のトークイベントが行われる。また特別上映企画として内山拓也監督『佐々木、イン、マイマイン』を日本語字幕付きで上映する。同映画祭はろう者に邦画の魅力を伝えるべく、予算上日本語字幕付きが制作できなかった優れたインディペンデント映画を選出して、日本語字幕を付ける取り組みを行っている。

 また関連企画として、シンポジウム「ドキュメンタリーとろう者」、「ろう映画の字幕制作の裏側」、「東京国際ろう映画祭フォーラム2021」をオンラインで実施する。いずれも事前予約制で参加費無料だ。これらのプログラムを通して、まさに「異質とは?」を考える良い機会となりそうだ。(取材・文:中山治美)

第三回東京国際ろう映画祭は12月4日、5日に東京・渋谷のユーロライブで、オンライン上映版は12月4日~12日に開催

映画『きこえなかったあの日』予告編 » 動画の詳細
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