Netflix『アーミー・オブ・ザ・デッド』別エンディングが検討されていた！

　『ジャスティス・リーグ』『マン・オブ・スティール』などの大作を手掛けたザック・スナイダー監督と、彼の妻で製作者デボラ・スナイダーが、5月17日（現地時間）にニューヨークの Paris Theater で行われたNetflix映画『アーミー・オブ・ザ・デッド』上映後のQ＆Aで、作品への想いを明かした。（以下、映画のネタバレを一部含みます）

【動画】進化型ゾンビVS.傭兵集団！『アーミー・オブ・ザ・デッド』予告編

　本作はハンバーガーショップを切り盛りする元傭兵のスコット・ウォード（デイヴ・バウティスタ）が、カジノのオーナー、ブライ・タナカ（真田広之）から依頼を受け地下金庫に眠る2億ドル奪還にチャレンジする物語。その計画のために凄腕のチームを結成し、ゾンビ王国と化したラスベガスで空前絶後の戦いを繰り広げる。

　ザック監督が今作の脚本を書いたのは、長編デビュー作『ドーン・オブ・ザ・デッド』（2004）の製作後だった。「アイデアが浮かんで、2004年には書き終えていた。だが、その後もずっと棚上げしていた。ある時、スコット・ステューバー（Netflixのオリジナルフィルムズのトップ）にこのアイデアを話すと、『それを制作してみたらどうだい』と言われたことがきっかけになった」と話がトントン拍子に進んだことを明かし、オリジナルコンテンツを手がけるアーティストを尊重するNetflixのもとで、一流のスタッフを集め、自らメガホンを取り撮影監督も務めた。

　本作で破壊力あふれるゾンビのリーダー・ゼウスを演じたのは、リチャード・セトロンという俳優だ。「彼は僕の全ての作品に出演し（クレジットされていない作品もある）、『バットマン vs スーパーマン　ジャスティスの誕生』や『ジャスティス・リーグ』では、ベン・アフレック（バットマン役）のスタント・ダブルをやってくれていたほど、屈強な人なんだ」と語る通り、本作でリチャードは鬼気迫る迫力のある演技を見せている。ぜひ注目して欲しい。

　ザックは、当初別のエンディングを考えていたそうだ。「今作は典型的なゾンビ作品から脱して、構築したものを考えていたため、最後は誰も助からず、クールなエンディングにしようと思っていた。結局、ある人物が生き残るが、その生き残った人物が（政府の）秘密を知ってしまったことで、CIAエージェントが殺しに来るアイデアや、まるでグアンタナモ湾収容キャンプみたいな場所に、政府の役人が生き残った人物を連れていく設定なども考えていた」と教えてくれた。

　（ここから重大なネタバレ）映画内では、アルファ・クイーン（ゾンビの女王）は首を切断されるが、首だけでも生きている設定が面白い。デボラは「あのシーンの撮影は複雑だったわ。アルファ・クイーンを演じたアテナ・ペランプルには、（グリーンスクリーンの撮影のために）緑色の衣装を着てもらって、首を切断された時も、アテナが演じていたの」と撮影秘話を明かすと、ザックは「フィッシャー・ドリー（フィッシャー製のカメラマンを載せる車）の上にアテナが座り、彼女の髪にブームを付けて、ドリーグリップ（ドリーを動かす人）を担当したダレンが、それを上下に上げ下げすることで、彼女の首がまるで動いているように見せているんだ」と撮影を振り返った。（ここまで重大なネタバレ）

　今作は多くの政治的ジョークや移民の話題に触れ、「あの時は、まだ温度センサーの使い方なんて誰も知らなくて、どの方向に向けて測ったら良いかもわからなかった。でも今では（新型コロナウイルスで）、あらゆるところで温度センサーが使われているから不思議ね」と図らずもタイムリーになってしまった道具についても明かした。

　本作ではさまざまな素晴らしい楽曲が使用されている。「僕は絵コンテを書いている際に、楽曲のプレイリストを作る。本作の絵コンテを書くのに、何か僕に刺激をくれるような楽曲を40曲選んだんだ」と意外にも沢山の音楽を選んでいたことをザックが明かすと、デボラは「実は、そのプレイリストを録音したCDを、撮影スタッフのそれぞれの部門のトップに渡して、スタッフにも聞いてもらっていたの」と明かし、そのプレイリストのほとんどが本作に使用されているようで、Netflixに追加予算を請求していたそうだ。ちなみに、唯一断られた楽曲は、歌手シェリル・クロウの楽曲「リービング・ラスベガス」だったそうだ。（取材・文・細木信宏／Nobuhiro Hosoki）

Netflix映画『アーミー・オブ・ザ・デッド』独占配信中