あふれる映画愛…スター声優夫婦の秘密と受難描くイスラエル映画『声優夫婦の甘くない生活』12月公開

　人には言えない闇仕事で人生の再起を図る、スター声優夫婦の危機をコミカルに描くイスラエル映画『声優夫婦の甘くない生活』が、12月18日より公開されることが決定し、予告編が公開された。

【動画】フェリーニのオマージュも！『声優夫婦の甘くない生活』予告編

　舞台は1990年。かつてソ連に届くハリウッドやヨーロッパ映画の吹き替えで活躍した声優夫婦ヴィクトルとラヤがイスラエルへ移住するも、新天地では仕事にありつけない。生活のため、ラヤは夫に内緒の仕事に就き思わぬ才能を発揮。一方ヴィクトルは、違法な海賊版レンタルビデオ店で再び声優の職を得るが、妻の秘密が発覚したことを機に2人の仲に亀裂が生じていく。

　本作は、監督を務めたエフゲニー・ルーマンが旧ソ連圏から移民した実体験をもとに、7年の歳月をかけて作り上げられた。イスラエル史上最大の移民の波である「鉄のカーテン」崩壊後に、より良い生活を願って海を渡ったロシア系ユダヤ人たちの歴史の一幕が描かれている。同時に、今年生誕100周年を迎えるイタリアの名匠フェデリコ・フェリーニにオマージュをささげ、劇中にはロベルト・ベニーニ主演作『ボイス・オブ・ムーン』（1990）が登場。

　予告編には、イスラエルに移住してきた夫婦の波乱万丈の新生活が収められている。「映画は人生を豊かにする。声優はその出会いの案内人だ」と語るヴィクトルに、「私の人生も豊かにしてほしかった」と答えるラヤ。前途多難な夫婦生活が軽快かつ切実に描かれているほか、フェリーニへのオマージュ描写も見られる。

　現在、新型コロナウイルスの影響で本国イスラエルでは未公開にありながら、ヨーロッパを中心とした各国の映画祭で上映され、2019年タリン・ブラックナイト映画祭で脚本賞、NETPAC賞（最優秀アジア映画賞）を受賞。2020年バーリ国際映画祭では監督賞、特別賞（女優部門）を受賞している。（編集部・石井百合子）

映画『声優夫婦の甘くない生活』は12月18日よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次公開