『ジョジョ・ラビット』ナチスも人間的に描いたワケ…タイカ・ワイティティ監督が明かす

第92回アカデミー賞

タイカ・ワイティティ監督演じる空想のヒトラーと主人公ジョジョ
タイカ・ワイティティ監督演じる空想のヒトラーと主人公ジョジョ - (C) 2019 Twentieth Century Fox Film Corporation &TSG Entertainment Finance LLC

 第92回アカデミー賞で作品賞など6部門ノミネートを果たした映画『ジョジョ・ラビット』で監督、脚本、製作、そしてヒトラー役まで務めたタイカ・ワイティティが電話インタビューに応じ、本作に込めた思いを明かした。

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 本作は、第2次世界大戦時のドイツを舞台に“反ヘイト”をうたうスウィートな風刺劇。主人公は、空想のヒトラーを友達に持つ、ナチスに教化された10歳の少年ジョジョ(ローマン・グリフィン・デイヴィス)。しかし、そんな彼の世界の見方は、母(スカーレット・ヨハンソン)が自宅に密かに匿っていたユダヤ人の少女(トーマシン・マッケンジー)と出会ったことで、大きく揺さぶられることになる。

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 シリアスな題材でありながら、ワイティティ監督は自身が演じるアホっぽい空想のヒトラーを筆頭に、笑えるコメディーとエモーショナルなドラマのバランスを絶妙に取っている。ワイティティ監督は「僕は、いつも映画でそれをやろうとしているんだと思う。コメディーとドラマを混ぜることをね。だからいつもやっていることをやろうとしただけだ。純然たるドラマのやり方は知らないから、できなかったというのもあるけどね」とさらりと語る。

 ヒトラー役は「楽しい役ではなかった。あの格好をした自分の姿を見るのはなかなかきつかった」とこぼすも、「うまくやる秘訣は、忠実に演じるようにしないこと。(子供の空想だから)もっと子供っぽく、アマチュアな感じにした。僕はそれがとても得意なんだ」とにやり。もともとは自分で演じるつもりではなかったというが、「今は、これで良かったんだと思う。僕がこの役に求めているのはとてもはっきりしたものだったから、自分にしかできなかったんじゃないかと思う」。ユダヤ人の母とマオリの父を持つワイティティ監督だけに、「ヒトラーは僕が演じるのを嫌がるだろうから、それはよかった(笑)。それに彼についてのリサーチは一切しなかったんだ」と振り返った。

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 ザ・ビートルズの「抱きしめたい」、デヴィッド・ボウイの「ヒーローズ」、トム・ウェイツの「I Don't Want To Grow Up」など歌詞や曲が象徴するものまでシーンにぴったりハマったサウンドトラックについては、2011年に書き上げた脚本にすでに書き込まれていたとのこと。「この瞬間にはこの曲が必要だということがわかっていたし、代わりなどなかったんだ」というワイティティ監督は、「現代的に感じにしたかったんだ。観客がキャラクターとつながれるようにしたかったし、この物語を今起き得ることとして感じてほしかった。単なる過去のことではなく、気を付けていないと起こってしまうこととしてね」と狙いを明かした。

 そして本作では『スリー・ビルボード』のサム・ロックウェル演じるキャプテンKをはじめ、ナチスも人間的に描かれている。ワイティティ監督は「ドイツの兵士や人々の中にもファシズムに賛同していない人はたくさんいた、ということを、多くの人々は理解していないと僕は思う。この戦争以前に、彼らには普通の暮らしがあったということを知ることは大切だと思うんだ。多くの人々が間違った判断を下し、そこから抜け出せなかった。それに気づいたのは、戦争が終わる時だった。僕はただ、人間は人間だと示したかった。誰も生まれた時から人種差別主義者というわけじゃない。そんなのは野蛮な考えだ。だからこそ、子供たちをどう教育するかということが大事なんだ」と訴えていた。(編集部・市川遥)

映画『ジョジョ・ラビット』は公開中

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