なかざわひでゆき

なかざわひでゆき

略歴: 日本大学芸術学部映画学科卒、同学部大学院卒。映画・海外ドラマのライターとしてキャリア30年。TVガイド誌やオンライン情報サイトなどを中心に幅広く執筆活動中。雑誌「スカパー!TVガイドBS+CS」(東京ニュース通信社刊)で15年続くコラム“映画女優LOVE”をはじめ各テレビガイド誌で特集記事やコラムを執筆。著書は「ホラー映画クロニクル」(扶桑社刊)、「アメリカンTVドラマ50年」(共同通信社刊)など。海外取材経験も多数。旧ソ連のモスクワ育ち。

近況: 目下のところBabyMonsterとTXTにドハマリ中。まさか高校生の姪っ子と推しが被ることになるとは…(^^;

サイト: http://eiga3mai.exblog.jp/

なかざわひでゆき さんの映画短評

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  • インフィニティ・プール
    シュールにして悪夢的、不快指数高めのカルトなSFホラー
    ★★★★

     高級リゾートのインバウンド消費に経済を頼り切っている架空の国。現地では権力が腐敗して一般市民が困窮する一方、リッチな外国人観光客たちが傍若無人に振る舞っている。そんな国を初めて訪れた夫婦が、一部の観光客と地元警察が裏で結託して身の毛もよだつ恐ろしい「儀式」を行っていることに気付く。金と権力と欲望の三位一体によって、いとも簡単に堕落してしまう人間の醜悪さを描いた作品は古今東西少なくないが、本作はそこへ過激なエロとグロを交えつつシュールで悪夢的なSFホラーへと昇華させたところが秀逸。ミア・ゴスのキレッキレな怪演がまた強烈だ。来るべき日本の近未来像みたいな舞台設定もイヤ~な感じですな。

  • 劇場版 再会長江
    激動する中国社会の「今」を鮮やかに捉えた佳作
    ★★★★

     ‘10年にNHKの番組で中国の長江沿いに暮らす人々を取材した竹内亮監督が、それから10年以上の時を経て同じ道程を辿り、かつて知り合った人々を訪ね歩くドキュメンタリー。もはや「10年ひと昔」なんて生易しいものではない、中国社会の急速な発展と変化にビックリ。なるほど、日本なんかあっという間に追い越されるわけですよ。そのうえで、若者に忌避されて高齢化が進む肉体労働者、近代化に伴って故郷も伝統も捨てた少数民族、反対に近代化を上手く取り入れながら伝統を継承する少数民族など、激動の時代に生きる市井の人々の素顔を活写する。中国の懐の深さ、スケールの大きさ、そして圧倒的な美しさ。今すぐ行きたくなりますな!

  • オッペンハイマー
    才能と情熱は時として諸刃の剣となる
    ★★★★

     天才的な物理学者にして、「マンハッタン計画」を主導した原爆の生みの親オッペンハイマーの半生を、鬼才クリストファー・ノーランが映画化した作品。本編とは全く関係のないバーベンハイマー騒動の悪しき影響もあってか、日本公開前から一部の的外れな偏った批判が先行してしまったのは残念だが、時として諸刃の剣となりかねない才能や探求心の危うさ、最先端技術が創造主の手を離れて政治的に利用されてしまうことの怖さを、ノーラン監督らしい多角的な視点と巧妙に計算された構成で描き切る。3時間の長尺も殆んど苦にならないのは立派。トム・コンティやマシュー・モディーンなど懐かしい役者の登場も嬉しい。

  • パリ・ブレスト ~夢をかなえたスイーツ~
    実在する有名パティシエの決して甘くないサクセス・ストーリー
    ★★★★

     アラブ系フランス人の有名パティシエ、サジッド・イシュムラエンの半生を描いたサクセス・ストーリー。人種差別に貧困に複雑な家庭環境にと、生まれた時から本人の力だけではどうにもならないハンデを背負った主人公が、夢を叶えるためなら手段を選ばぬ覚悟で人生を切り拓いていく。見るからに華やかで美味しそうな高級スイーツが全編をカラフルに彩る作品だが、しかしみんなと同じスタート地点にすら立てない若者の成り上がりドラマは決して甘くない。良き母親になりたくても境遇がそれを許さず、己の無力感に苛まれる主人公の母親の苦悩にも思わず涙。それだけに、努力が実を結ぶハッピーエンドには感無量である。

  • ペナルティループ
    またもやタイムループ物…と侮るなかれ
    ★★★★

     恋人を殺された若者が犯人を殺害して復讐を果たすものの、気が付くと同じ日の朝に時間が戻っており、若者は何度も繰り返し犯人を殺すことになるのだが、そのうち彼の心境に変化が生じていく。復讐の是非を問う映画は古今東西少なくないが、仕掛けとしてタイムループを使った作品は珍しいだろう。とはいえ、またか…といった感じのタイムループ物ではあるものの、しかしこのシニカルなユーモアとほろ苦い切なさの入り混じった中盤からの展開は全くの予想外で、それこそ『ミステリー・ゾーン』の良質なエピソードを見た時のような味わいがある。

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