なかざわひでゆき

なかざわひでゆき

略歴: 日本大学芸術学部映画学科卒、同学部大学院卒。映画・海外ドラマのライターとしてキャリア30年。TVガイド誌やオンライン情報サイトなどを中心に幅広く執筆活動中。雑誌「スカパー!TVガイドBS+CS」(東京ニュース通信社刊)で15年続くコラム“映画女優LOVE”をはじめ各テレビガイド誌で特集記事やコラムを執筆。著書は「ホラー映画クロニクル」(扶桑社刊)、「アメリカンTVドラマ50年」(共同通信社刊)など。海外取材経験も多数。旧ソ連のモスクワ育ち。

近況: 目下のところBabyMonsterとTXTにドハマリ中。まさか高校生の姪っ子と推しが被ることになるとは…(^^;

サイト: http://eiga3mai.exblog.jp/

なかざわひでゆき さんの映画短評

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  • ペナルティループ
    またもやタイムループ物…と侮るなかれ
    ★★★★

     恋人を殺された若者が犯人を殺害して復讐を果たすものの、気が付くと同じ日の朝に時間が戻っており、若者は何度も繰り返し犯人を殺すことになるのだが、そのうち彼の心境に変化が生じていく。復讐の是非を問う映画は古今東西少なくないが、仕掛けとしてタイムループを使った作品は珍しいだろう。とはいえ、またか…といった感じのタイムループ物ではあるものの、しかしこのシニカルなユーモアとほろ苦い切なさの入り混じった中盤からの展開は全くの予想外で、それこそ『ミステリー・ゾーン』の良質なエピソードを見た時のような味わいがある。

  • 美と殺戮のすべて
    権力者の不正に声をあげ続けねばならぬ理由
    ★★★★

     全米で50万人以上が亡くなった「オピオイド危機」。その元凶とされるオピオイド系鎮痛薬オキシコンチンの製造会社パーデューを経営し、中毒性の高さを隠して大量販売した大富豪サックラー家。彼らの許されざる罪を糾弾する大物写真家ナン・ゴールディンの活動を記録しつつ、同時にその半生を紐解くことで彼女の「戦う理由」に焦点を当てたドキュメンタリーだ。まだ米社会が保守的だった’60年代に奔放すぎる姉がそれゆえ自殺へ追い込まれ、’80年代のエイズ禍における政府の無策で大勢の友人を失った彼女は、声を上げ続けなければ権力者にとって不都合な真実は簡単に葬り去られてしまうと危惧する。その気概は今の日本人にも絶対必要だ。

  • 成功したオタク
    罪を犯した「推し」、その事実にファンはどう向き合うべきか?
    ★★★★★

     成功したオタクとは「推し」の芸能人からも認知されるファンのこと。本作のオ・セヨン監督もそうだったという。彼女の推しは’19年に韓国で問題となった性加害事件に関与した男性芸能人のひとりチョン・ジュニョン。罪を犯した推しに対する、怒りと悲しみと後悔の入り交じった複雑な感情。他のファンはどう折り合いをつけているのか?これは、自分と同じく推しに裏切られた女性たちへ取材した監督が、ファンとしてその事実とどう向き合うべきなのか?を考察したドキュメンタリーだ。強く感じるのは韓国女性のフェミニズム的な人権意識の高さ。日本でも芸能界の性暴力が問題視されているが、向こうは一歩先を行っているなとの印象を受ける。

  • 流転の地球 −太陽系脱出計画−
    中国映画の技術力を見せつけられる壮大なSF冒険スペクタクル!
    ★★★★

     そう遠くない未来に予測される太陽系消滅から人類を救うため、地球そのものに1万基のエンジンを付けて太陽系から脱出させるという、壮大な人類移住計画を描いた中国産SFアドベンチャー映画『流転の地球』の前日譚。今回は前作の冒頭でサラリと触れられた、計画実行までの苦難の道程が描かれる。計画の妨害を狙った大規模なテロ攻撃に想定外の大惨事など、次から次へと襲い掛かる災難。VFXの圧倒的なスケール感とも相まって、およそ3時間の長尺もあっという間に感じられる。劇中ではアメリカと肩を並べる世界のリーダーとして描かれる中国だが、本作を見ていると映画の技術レベルは既にハリウッドを凌駕しつつあるように感じられる。

  • ブルーイマジン
    性暴力被害者が直面する日本社会のリアルを描いた問題作
    ★★★★

     過去の性暴力被害を周囲に黙っていた役者志望の女性が、同じような境遇の女性たちと関わることで声を上げる勇気に目覚めていく。直接的な元ネタであろう某映画監督の性加害事件はもちろん、昨今の日本芸能界で物議を醸している様々なセクハラ&パワハラ問題を想起させる力作。性犯罪が「それしきのこと」として軽んじられ、加害者よりも被害者の方が責められたり揶揄されたりする日本社会で、女性が性被害を打ち明けることのハードルがどれだけ高いのか、だからこそ女性同士の連帯がいかに重要であるのかを、静かな怒りと揺るぎない決意を以て描いていく。時として脚本や演出が愚直すぎるように感じるが、それもまたこの映画の魅力であろう。

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