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フリーソロ (2018):映画短評

フリーソロ (2018)

2019年9月6日公開 100分

フリーソロ
(C) 2018 National Geographic Partners, LLC. All rights reserved.

ライター4人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4.3

山縣みどり

クライミング界の偉業を目撃し、静かに感動

山縣みどり 評価: ★★★★★ ★★★★★

登山道具は使わず、滑り止めチョークだけで絶壁を登るフリーソロ。命がけの挑戦を続けるアレックス・オノルドはなぜ、エル・キャピタンに挑んだのか? 恐怖を感じにくいという稀有な性格や登山ファーストの人生を掘り下げるとともに、危険な挑戦が愛する人との関係性まで危うくする側面も明らかになる。フリーソロの意義を問う恋人サンニの率直な思いに共感したが、感情抑制という鎧を身につけたアレックスのブレない姿勢に圧倒された。まさに超人! クライマー揃いの撮影スタッフのチームワークが素晴らしく、彼らによる緊迫感あふれる映像は唯一無二といえる。前人未到の偉業への挑戦が生む緊張感が最後に緩み、静かに涙した。

この短評にはネタバレを含んでいます
平沢 薫

目の前に見えるものが原初的な恐怖を呼ぶ

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 ロープや器具をまったく用いず、ただ身体だけを使って、岩肌を登る。失敗したら落下して死ぬ。そんな状態の人間が、ドローンなどの撮影技術の進化によって撮影可能になり、巨大な岩に張り付く小さな人体が、表情が分かるほど近くから、さらには指先に入る力までもが分かるほどの至近距離からも、すぐ目の前にあるように映し出される。落ちたら死ぬその状態は、見ているだけで原始的な恐怖を呼び起こす。登る男は、言葉を飾らずまっすぐに気持ちを語るが、それでもなぜ彼がそれをせずにいられないのかは分からない。映画が、そんな彼をただ撮るだけで、その行動の理由を描こうとしないのがいい。

この短評にはネタバレを含んでいます
なかざわひでゆき

人類史上最大の挑戦を手持ちカメラで捉えた映像が圧巻!

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 『MERU/メルー』のジミー・チン監督とエリザベス・チャイ・ヴァルサヘリィ監督のコンビによる、今年のアカデミー賞に輝いたロッククライミング・ドキュメンタリーである。地上975メートル!前人未到の断崖絶壁エル・キャピタンに、ロープや安全装置なしのフリーソロ・クライミングで登ろうという、若き天才アレックス・オノルドの1年以上に渡る挑戦を記録している。やはり最大の見どころはラスト20分、自らもプロのクライマーであるチン監督が、アレックスによる「人類史上最大の挑戦」を手持ちカメラで撮影した驚異の映像だろう。高所恐怖症の私としては思わず眩暈でクラクラ(笑)。とにかく、これは一見の価値あり。

この短評にはネタバレを含んでいます
斉藤 博昭

パブロフの犬のように、肉体が反応する

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

前人未到の垂直の絶壁を、ロープや救命道具を一切使わずに登る主人公の挑戦。ということで、ある程度、映像は予想できる。そして実際にその予想に近いものがスクリーンに広がるので、頭では「こんなものか」と極端な驚きはない。しかし気がついたら、手のひらが汗でビッショリになっていた……。つまりこれ、本能的に脳を刺激するスリルなのだ。

主人公アレックスの達観の境地には恐れ入るが、意外にガールフレンドのノリが軽かったり、ストイックなだけではないリアルな日常に感心。さらに975mの挑戦を映像で収めるスタッフの苦心と気遣い、そして本気で感動している姿に、こちらも涙腺がゆるむ。ドキュメンタリーの見本のような一作。

この短評にはネタバレを含んでいます
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