相馬 学

相馬 学

略歴: アクションとスリラーが大好物のフリーライター。『DVD&ブルーレイでーた』『SCREEN』『Audition』『SPA!』等の雑誌や、ネット媒体、劇場パンフレット等でお仕事中。

近況: 『ワイルド・スピード/ファイヤーブースト』『探偵マーロウ』『ドラキュラ/デメテル号最期の航海』他の劇場パンフレットに寄稿。「シネマスクエア」誌にて、正門良規さんに映画とその音楽について話を聞く連載を開始。

相馬 学 さんの映画短評

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  • 陰陽師0
    キャラ重視で甦った平安ダークファンタジー
    ★★★★

     佐藤嗣麻子監督の名を映画の分野で久しぶりに聞いたと思ったら、じつに『アンフェア』シリーズ以来。すなわち9年ぶりとなるが、世界観の作り込みはさすが。

     安倍晴明と源博雅の若き日のストーリーは原作の前日談というよりは、滝田洋二郎監督による『陰陽師』シリーズ2作のそれ。キャラクターを重視しつつミステリーを転がす、魑魅魍魎の平安ファンタジーに引き込まれる。

     冷ややかな晴明と、素直過ぎてヌケている(?)博雅の、それぞれの後の成長をうかがわせるのも味。山崎賢人と染谷将太の組み合わせもよく、テンポよく楽しめる。

  • プリシラ
    ガーリーのその先へ
    ★★★★

     いきなり流れるラモーンズだけで時代を超越する『マリー・アントワネット』感。S・コッポラ作品でしばしば語られる“ガーリー”という空気の濃度も同作に近い。

     プレスリーとの恋で得たセレブライフにおける、ゴージャスな愛らしさはファッションやインテリアなどの生活のなかに顔を覗かせる。少女と女性の顔を行き来するC・スピーニーの好演は、この世界にフィットして、まさにハマリ役。

     『マリー・アントワネット』と異なるのは、セレブ生活ではなくラブストーリーに焦点を絞っていること。ときめきがピークに達し、その後は失望が少しずつ大きくなる。そんな感情に寄り添っている点がいい。

  • リンダはチキンがたべたい!
    自由に、躍動的に輝くアニメーション
    ★★★★

     フリーハンドで描いたような線と、シンプルかつメリハリの効いた色彩。CGアニメの逆を行くアナログ感覚が、まず目を引く。

     通常のアニメ制作とは異なり、まずセリフを収録してから作画に取りかかったとのこと。ビジュアルが生き生きとしているのは、その効果もあるのだろう。何が何でもチキンを食べたい、そんな子ども心の自由な欲求が躍動的にとらえられている。

     監督は子どもに見せるために作ったというが大人が見ても面白く、心の暗闇から引き出される記憶や食肉に関する考察など、興味深い要素も。物語のリズムがそのまま重なり、加速する音楽も巧い。

  • オーメン:ザ・ファースト
    悪魔vsガールパワー
    ★★★★

     『オーメン』の前日談は、ありそうでなかった企画。時代のうねりという事実を踏まえつつ、そこに権力の野心を絡めた興味深いドラマが展開する。

     舞台が1970年代のローマというだけでホラーファンとしてはときめき、ジャーロ映画のような様式美にオカルトを絡めたつくりに見入る。

     見習いシスターを主人公に据えた点も技ありで、女性が悪魔と、そして悪魔的なシステムと格闘する展開が面白い。主演のN・T・フリーの無垢な存在感に加え、A・スティーブンソン監督の丹念な演出も光る。ガールパワーの物語としても見応えあり。

  • パスト ライブス/再会
    ロマンチックでなくても、愛のおとぎ話は成立する
    ★★★★★

     端正な映画という第一印象。過剰なロマンチシズムや大げさなドラマ性を削ぎ落し、シンプルに、素朴に愛のおとぎ話を語る。

     韓国と北米という距離に隔てられた幼馴染みふたりの関係と、それぞれの異なる人生の物語。スタートは一緒でも離れて生きると、たどり着く場所は違ってくる。そんな彼らの、それぞれの成長を見据え、飲み会や仕事などの日常の風景にさえ気持ちがにじむ心憎いつくり。

     「デート映画ではなくて愛の映画」とソン監督は本作について語るが、それも納得。監督デビュー作にして、これほど洗練された作品を撮ったことに驚かされる。必見。

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