ミルクマン斉藤

ミルクマン斉藤

略歴: 映画評論家。1963年京都生まれ。デザイン集団「groovisions」の、唯一デザインしないメンバー。現在、京都・東洞院蛸薬師下ルの「三三屋」でほぼ月イチ・トークライヴ「ミルクマン斉藤のすごい映画めんどくさい映画」を開催中。雑誌「テレビブロス」「ミーツ・リージョナル」「キネマ旬報」等で映画コラムを連載中。

ミルクマン斉藤 さんの映画短評

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  • 怪物の木こり
    あの絵本は実際に出版して欲しいなあ。
    ★★★★★

    サイコパスと殺人鬼、それに対するプロファイラー。この三人の戦い自体はとても面白い。脳チップという、いささかSF的な要素も加わり、興味は持続する。殺人鬼とサイコパス、両者の過去もなかなかにおぞましく、サイコ・スリラーの条件は満たしているといえるだろう。しかし、吉岡里帆の見せ場が割合に少ないこともあって、いささか物足りない作品になっているのも事実。まぁ正直、三池崇史作品だから、本当はもっと凶悪で容赦なくあって欲しいところでもあり、その感は逃れえない。

  • 春の画 SHUNGA
    森山未來、吉田羊のナレーションも良い。
    ★★★★

    塩田明彦の『春画先生』に続き、こちらはドキュメンタリ。鳥居清長「袖の巻」復活プロジェクトを中心として江戸期以来の春画の歴史が綴られるが、その絵師ごとの特色が濃厚に出ているのがよく判る。絵師、彫り師、刷り師、その三方が綾なす微細な版画の浮世絵の美しさとエロティシズム。髪の生え際の一本一本、陰毛の一本一本まで精緻に彫り込まれる様には感心しきり。大英博物館のキュレーターが言うように「女性が性的快感を持って良いという思想がある」という真意が理解できる。初期の歌麿等の美人絵系から北斎「喜能会之故真通」の蛸あたりから変わり、幕末のグロテスク画に至るまで網羅しているのも美術ドキュメンタリーとして優秀。

  • 愛にイナズマ
    タイトルの真意は最後にやってくる。
    ★★★★

    石井裕也の家族至上主義にはどうも嫌悪感を覚える僕なのだけれども、ここまでのストロングなキャストで固められるとなんとなく盛り上がってしまう。しかも家族の映画であると主に映画についての映画でもあり、よほどインディペンデント出身の石井監督も嫌な目をしてきたのだろうか、プロフェッショナルな業界風をまき散らす奴らへの恨みが吐き出されているのも面白いところ。しかもそこからはじき出されてしまった松岡茉優が、映画そのものをもってその復讐を果たそうとする戦闘的な姿勢も良い。ある一件で殴り込むことになるこの家族の背後に、中田喜直の『夏の思い出』がずっと流れるというセンスもなかなかのもの。

  • おまえの罪を自白しろ
    やはり監督には向いてるものと、じゃないのとがある。
    ★★★★

    ある談合疑惑とそれに関するミステリーなのだが、ここまでのキャストが揃えばある程度誰が犯人だかすぐに気づくというものだ。「正義」というものが何かというのを問う仕様にはなっているが、それもありきたり。けして中島健人や堤真一はじめ役者に不足はないんだけれど、どうにも退屈で盛り上がらない。コメディに関して水田監督はほとんどハズレのない素晴らしい演出家だと思うのだけれども、どうもこうしたサスペンスものに関しては不発に終わることが多く、これもその例外では無いのが残念。

  • リバイバル69 ~伝説のロックフェス~
    先人へのオマージュに満ちたロックンロール映画。
    ★★★★

    当時22才のプロデューサーがカナダ初のポップフェスを開くまでのドタバタ劇。大ドキュメンタリストD.A.ペネベイカーが撮りながら未完に終わったフッテージを大幅に使われる。一向に売れないチケットを考慮して、結果的にレノン&ヨーコのプラスティック・オノ・バンド(ドタキャンしようとした彼らを英国から呼び寄せ、カナダのバイカー軍団に先導させて会場に入らせるところなんて最高!)が初ライブを披露したり、当時大人気のドアーズをメインに呼ぶのも面白いが、このフェス自体がロックンロールの発展を示す…具体的に言えばチャック・ベリーからボ・ディドリー、当時新進気鋭のアリス・クーパーまでを網羅していて音楽好きは大満足。

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