略歴: 脳梗塞で死にかけ、今は杖片手に早めの余生。一応映画文筆屋。Web中心に村松健太郎の名前で書いてます。どうぞごひいきに。
近況: お一人でも映画館に行こうという気持ちになっていただけるように精一杯やらせていただきます。
サイト: https://www.instagram.com/kentaroumuramatsu_osonerampo/?hl=ja
ジェイソン・ライトマンが仕切る”正統ネクストジェネレーション”第2弾。前作でオリジナルへのリスペクトとファンサービスは済ませているので、今回は大きく舵を切って家族とティーンエイジャーの成長譚になりました。思えば即興的な笑いが中心のシリーズだったので、こういうドラマ性が盛り込まれるのはなかなか新鮮です。舞台がお膝元のニューヨークになっているのも当たり前と言えば当たり前ですがしっくりきます。もちろん顔を出してくれるオリジナルの面々も楽しそうにしてるので嬉しくなります。そしてあのレイ・パーカー・ジュニアのメイン―マーはやはり偉大です。
二つの時代の二つの恋を生きる一人の男の物語。山田智和監督は本作が初長編ということで、若干ちぐはぐな部分もあり、もう少し上映時間を増やして説明的でも良かったのかなと思う部分もありましたが、演者の熱演と海外ロケも行った画の強さで物語を引っ張っていきます。メインキャストの3人中では、特に複雑な心情を抱えたキャラクターを演じた長澤まさみの演技が心に残りました。写真が大きなキーアイテムとなっているため時折ハッとするような美しい画面が出てくるのが印象的です。なので音はともかく画についてはかなり環境の良い劇場で見ることをお薦めします。
SFというのは低予算でも巧く立ち回れば成り立たせられるジャンルではあります。、本作の荒木伸二監督はまさに近年の成功例の一人と言えるでしょう。実写邦画でこのクオリティをを出せるのはお見事です。基本的に”普段にあるモノ”だけを使っていながら、ちゃんとしたSFができている、前作『人数の街』に続いてのこのデキなので荒木監督のセンスはホンモノだと思います。いわゆるタイムリープモノですが、実写でやるとかなり滑稽に映ってしまうこともあるのですが、本作はドライなユーモアを漂わせて続けて、独特のリズムで物語は進んでいき、緩慢になることを防いでいます。荒木監督にはこの路線を保ち続けて欲しいところです。
妄想癖のある内にこもりがちなヒロインと、裏表のある俺様系王子キャラとの恋愛劇。ベタと言えばあまりにもベタなんですが、ちゃんとしっかりベタを徹底してくれて良いです。特にこの手の恋愛モノのヒロインとしては待望の登板となった原菜乃華の張り切りぶりというか振り切れぶりが本当に全力でやってくれているので嬉しい限りです。宮世琉弥の不器用ツンデレキャラもテンプレート的ではありますが、こうでなくてはキラキラ青春モノは楽しくなりません。物語の展開としてはちょっと駆け足気味で、もう少し長くても良かったかなと思いますが、スッキリ爽やかに駆け抜けました。
2時間半を超えた前作がまだまだ”序章”に過ぎなかったことがよくわかるシリーズ第2弾。ここから一気に物語が動き出します。壮大な叙事詩がいよいよ開幕と言ったところです。複雑に入り組んだ人間関係や思惑、過去と未来など要素が”盛り込み過ぎ”と言って良いほど盛り込まれ、正直一度見ただけでは把握しきった自信がありません。IMAXシアターでまず一回見て映像に圧倒された後、もう一度物語を追うことための再見が必要かもしれません。ティモシー・シャラメは大作のカリスマとして頼もしくなってきました。これからもこの路線で頑張って欲しいところです。