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映画短評

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  • 真実
    大物フランス女優競演でも日本映画のテイスト!
    ★★★★★

    カトリーヌ・ドヌーブがいわゆる大女優を演じる母娘ドラマだが、毒舌で自分勝手なヒロインや彼女に複雑な思いを抱く娘、女優に忠実なエージェントといったキャラ設定が非常にわかりやすい。ちょっと少女漫画風。母娘が愛した女優(故人)をめぐる思い出の相違や、故人の再来とされる新進女優と大女優が腹を割って話す下りなど挟まれる逸話も日本人の心にグッとくる。真実は一つじゃないという『羅生門』的な感覚だ。しかも子役以外の登場人物はみな思っていることを心に秘め、言外の意味を読み取らせようとする。大物フランス女優競演でも日本映画のテイストを維持するとは、さすがは是枝監督! 山田五十鈴と嵯峨三智子で作ってほしかった。

  • T-34 レジェンド・オブ・ウォー
    戦車内部にいるときの感覚を体感!
    ★★★★★

     戦車内部にいるときの身体感覚が描かれて、戦車が実はただ鉄の板で作られた箱でしかないことが実感できる。それに貢献するのが、音響の演出。弾が戦車に当たると、振動だけでなく、音が内部の空間全体に響いて、耳は聞こえなくなり気が遠くなる。鉄の重さで木製家屋を踏み潰す時の音と振動。そして重さゆえの動きの遅さ。進行だけでなく、砲身も重いので砲身の方向変更ですらジリジリとしか動かない。重くて鈍い鉄の箱なのだ。
     その体感描写のリアルさとは対比的に、ドラマは史実に基づきつつも写実性よりエンターテインメント性を重視。何より男たちの戦車への愛を描写。国や思想のためではなく、意地や友のために戦うドラマがいい。

  • 最高の人生の見つけ方
    いかにも日本的な脚色も悪くないスター映画
    ★★★★★

    いくら疲れた主婦を演じようとも吉永小百合は吉永小百合だし、豪快すぎる女社長は天海祐希まんま。要は“観ていて安心できるスター映画”としては正しい作りであり、秘書役のムロツヨシや意外と出番が長いももクロなど、2人を引き立たせるアクセントもしっかり効いている。オリジナルのエベレスト登頂に代わるラストは、かなりブッ飛んではいるものの、引きこもりなどの家庭の事情や企業の後継者問題といった、いかにも日本的な湿っぽい脚色も悪くなく、総じて「これはこれでアリかも?」と思わせてくれる。そんななか、エンドロールに流れる竹内まりやの主題歌が、妙なスペシャルドラマ感を醸し出すのであった。

  • アップグレード
    懐かしのB級&「ベストアクション・シリーズ」臭
    ★★★★★

    クレジットが出ず、音声のみの斬新なオープニングで幕を開け、イマっぽく言えば、“AI版『寄生獣』×『ヴェノム』”だが、じつは『ターミネーター』×「ナイトライダー」的な近未来SF感。しかも、リー・ワネル監督にとっては脚本を担当した『狼の死刑宣告』に続く、『狼よさらば』リスペクトであり、復讐に燃える主人公は組織の男たちを想像以上に “酷い目”に遭わせる。30年前なら、同級生とマネしたに違いないカクカクした動きに、ムダにカットを割るダサさ、早い段階で読めるオチなど、懐かしのB級&「ベストアクション・シリーズ」臭がツボることもあり、DVDスルーか配信で、しれっと続編が製作される予感も!

  • ジェミニマン
    スター映画のお手本
    ★★★★

    実は主演作品の公開は久しぶりのウィル・スミス最新作。大スター俳優の一人二役映画は時として、そのことだけに注力するばかりに、作品が微妙なこともあるのですが、これはちゃんと面白いスター主演娯楽アクションでした。基本的にウィル・スミスという人は現在のドル箱スターとしての立ち位置も含めて、等身大の物語よりSF的な企画が合う人だと思います。
    新規格の3Dプラス イン ハイ・フレーム・レートは明るい3Dと言うべきガラッと変わる映像環境を与えてくれます。できればこの条件に見合った劇場で見ていただきたいところです。ウィル・スミスの若返り方も不自然さはなくて楽しめます。

  • LORO 欲望のイタリア
    ソレンティーノ印で造形された「矮小な巨悪」の味わい
    ★★★★★

    太陽に照らされた海に浮かぶ船室で野心ギラギラの青年(R・スカマルチョ)が腰を振りまくる――そこに流れるストゥージズの「ダウン・オン・ザ・ストリート」。えっ、スコセッシ!? と思わせるパワフルな疾走感で「ブンガブンガ」を含む前半を駆け抜けるが、そこからある種の「メロウ」に傾くのがソレンティーノだ。

    怪人ベルルスコーニのゲスな虚栄と色欲のぶ厚い皮に埋もれた「虚無と純情」。『イル・ディーヴォ』『グレート・ビューティー』『グランドフィナーレ』の合わせ技といった趣で、やはりフェリーニの残響がある。廃墟から掘り出されるイエス像は『甘い生活』のヘリコプターで吊り下げられたキリストが意識されているだろう。

  • 英雄は嘘がお好き
    軽妙洒脱でクラシカルなフレンチ・コメディ
    ★★★★

     19世紀のフランスを舞台に、戦場へ出征したまま消息のない婚約者の身を案じる妹を心配した姉が、彼からの手紙を捏造して書き続けたところ、ついつい調子に乗って冒険活劇のような英雄像を作り上げてしまう。それから数年後、死んだはずの婚約者が舞い戻ったから大変!捏造された英雄伝説を金稼ぎに悪用する婚約者と、それを止めようにも今さら私がウソをつきましたと言えない姉による珍騒動が巻き起こる。見栄を張ったり欲をかいたりすると罰が当たりますよ!という教訓。スラップスティックなギャグを散りばめつつ、『おとなの恋の測り方』のローラン・ティラール監督らしい、軽妙洒脱でクラシカルなフレンチ・コメディに仕上がっている。

  • ボーダー 二つの世界
    他に類を見ない前代未聞の怪作
    ★★★★

     これは驚くべき怪作だ。国境の瀬戸際で密輸を食い止める税関職員を主人公にしたダークな北欧ノワールの様相を呈しつつ、そこへ意表を突くようなホラー・ファンタジー要素を絡め、それでもなお徹底したリアリズムを貫くことで、社会から疎外された者の孤独と悲しみと怒りを浮き彫りにしていく。ネタバレ厳禁ゆえにこれ以上踏み込んだことは言えないが、しかし今まで誰も見たことのないタイプの映画であることは間違いないだろう。映画ジャンルの境界線(ボーダー)はもとより、人種や性別、貧富などあらゆる境界線の既成概念を覆すことで、不条理の渦巻く現代社会の暗部へと斬り込む作品だ。

  • トスカーナの幸せレシピ
    美食の国イタリアならではの友情ドラマ
    ★★★★★

     料理の腕前は超一流だが性格に難アリな一匹狼の中年シェフ・アルトゥーロと、天才的な味覚を持つアスペルガー症候群の若者グイドが、料理を通じてお互いに友情を深めていくというイタリアン・コメディ。基本は『レインマン』のバリエーションで、2人が師弟コンビを組んで挑む料理コンテストの顛末を含め、全体的にストーリーの予定調和は否めないものの、それでもなお本作がハートウォーミングな良作たり得ているのは、とにもかくにも登場人物たちの豊かな人間性に依るところが大きいだろう。特にグイドを演じるルイジ・フェデーレのチャーミングな魅力は抗し難い。とても後味の良い爽やかな作品だ。

  • アップグレード
    '80年代テイストが光るSFアクションの小品佳作
    ★★★★

     暴漢によって妻を殺されて自分も半身不随になった男が、巨大企業が秘密裏に開発した人工知能を体内へ埋め込むことで身体能力が“アップグレード”され、犯人グループへの復讐を始めるのだが、しかしやがて事件の裏に隠された意外な秘密を知ることになる。監督・脚本は『ソウ』シリーズや『インシディアス』シリーズの脚本家リー・ワネル。『狼よさらば』×『600万ドルの男』的なリベンジ・アクションと思わせておいて、最終的に『ターミネーター』的な科学の暴走へと着地する構成が非常に巧い。今から20~30年ほど先を想定したリアルな近未来感、フィジカルな特殊メイクや生身のスタントを重視した’80年代的演出も好感触だ。

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