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ブライズ・スピリット~夫をシェアしたくはありません! (2020):映画短評

ブライズ・スピリット~夫をシェアしたくはありません! (2020)

2021年9月10日公開 100分

ブライズ・スピリット~夫をシェアしたくはありません!
(C) BLITHE SPIRIT PRODUCTIONS LTD 2020

ライター5人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3.2

なかざわひでゆき

原作とは一味違うフェミニズム的なひねりが面白い

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 かつて巨匠デヴィッド・リーンも映画化したノエル・カワードの戯曲『陽気な幽霊』を、20世紀英国演劇界を代表する演出家ピーター・ホールの息子が再びスクリーンに甦らせたファンタジックなコメディ。時代設定も基本プロットも原作をほぼ踏襲しているものの、下ネタを含めて現代的なブラック・ユーモアがてんこ盛りなせいか、全体的な印象としては『陽気な幽霊』よりもロバート・ゼメキスの『永遠に美しく…』に近いかもしれない。なので、カワード作品とは別物として見るのが正解。女性の内助の功にタダ乗りする男性の傲慢と身勝手を痛烈に皮肉りつつ、原作とは一味違ったフェミニズム的なひねりを加えた脚本は面白い。

この短評にはネタバレを含んでいます
相馬 学

愛すべき?それとも反省すべき!?人の愚かさを笑う

相馬 学 評価: ★★★★★ ★★★★★

 シリアスさよりも洒落っ気を重視したイギリスの劇作家、N・カワード節を映画に投影するゴースト・ストーリー。

 特権階級も平民も、男も女もみんなバカ! そこからブラックコメディを生じさせる構造。お色気から教訓まで匂わす程度に留めた点に、イギリス映画らしい品の良さが息づく。

 最終的に女性の強さが男性の愚かさをやりこめるのだが、そこにテーマがあると声高に主張するのは野暮というモノ。カワード作品らしく、男の浅ましさと女の強欲さを笑う程度に留めたい。個人的には、米国出身のL・マンによる英国女子の巧演が印象に残った。

この短評にはネタバレを含んでいます
山縣みどり

クラシックなラブコメを今風にアレンジ!

山縣みどり 評価: ★★★★★ ★★★★★

スランプ中の作家が試した降霊術がとんでもない事件を巻き起こす設定は古くさい感じだが、現代風なアレンジで女性のエンパワーメント映画に寄せた。といってもガチなフェミニズムとは無縁。男性優位の社会で閉塞感を感じる女性がシスターフッド的に共闘し、幽霊(?)がダメ男を翻弄とニヤリとさせる感じ。進行上必要とはいえ結構ブラックな展開もあるのが気になったが、N・カワード全盛期には許容範囲だったのだろう。D・スティーヴンスが勝気な美女に振り回される情けない男を好演。女優たちを相手の受けの演技が魅力的だ。また出番は少ないけれど、ジュディ・デンチ様! スタント演技にも挑戦しているし、愛らしい。

この短評にはネタバレを含んでいます
斉藤 博昭

軽快に楽しめ、ゴージャス気分になれる、これも映画の役割

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

いい意味での「軽さ」が全体に満ちあふれ、こうした映画が少なくなっている近年、一服の清涼剤のよう。
『ゴースト/ニューヨークの幻』など数々の「よみがえり映画」のエッセンスを感じさせながら、徹頭徹尾、生者と死者、2人の女性に翻弄されまくる男のトホホな慌てぶりで笑わせる。ナイフや食器棚を使った死者側の攻撃で一瞬、ホラーテイストになったりするも、すぐさま軽いユーモアへと変換。
衣装やアンティーク美術のカラフル&ゴージャスさを見ているだけで楽しいのは、じつに映画的。映画的といえば、「007」などを撮影した伝統のパインウッド・スタジオや、往年の俳優ネタも登場。ロンドンの高級スポットもおしゃれな味つけに。

この短評にはネタバレを含んでいます
平沢 薫

ダン・スティーヴンスのダメ男ぶりをたっぷり堪能

平沢 薫 評価: ★★★★★ ★★★★★

 ゲラゲラ笑いではなく、クスクス笑いの1作。どこかのどかな雰囲気は、原作が1941年上演のノエル・カワードの戯曲、ドラマの舞台は1937年という、古風な仕様の効果だろう。その一方で、主人公を翻弄する妻2人、現在の妻と降霊術で出現した亡き妻のキャラと意地悪ぶりは、かなり現代的にアップデート。「ダウントン・アビー」ではおぼっちゃまキャラだったダン・スティーヴンスが楽しそうに演じるダメ男ぶりを、たっぷり堪能する1作でもある。そんな物語を彩るのが、セットではなく本物を使ったアール・デコ様式の豪邸と調度品。そして優雅で華やかな1930年代風ファッション。画面に映る小物たちがウットリさせてくれる。

この短評にはネタバレを含んでいます
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