ADVERTISEMENT

サマーフィルムにのって (2020):映画短評

サマーフィルムにのって (2020)

2021年8月6日公開 97分

サマーフィルムにのって
(C) 2021「サマーフィルムにのって」製作委員会

ライター3人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 4.7

斉藤 博昭

映画は時代をつなぐ。真っ当すぎるテーマに素直に全身で反応

斉藤 博昭 評価: ★★★★★ ★★★★★

『サマータイムマシン・ブルース』のお気楽さに、『時をかける少女』の切なさをフレーバーに、徹底して映画愛をみせきる。強引さ、もどかしさ、拙さ、ツッコミどころという映画としての弱点も発見できるのだが、それらが高校生の青い日常とリンクして、逆に本作では絶妙効果を発揮する。これ、狙っていたとしたら天才的。

本格時代劇を撮りたい主人公に対し、キラキラ映画を撮る仲間が批判的に描かれると思いきや、そのキラキラも愛情たっぷりに取り込んでしまう懐の深さ。

映画という文化が消えるかもしれない運命と、高校のひと夏が終わって二度と戻らない哀愁も重なり、どうやって終わるかドキドキしながら見守るラストは爽快スッキリ。

この短評にはネタバレを含んでいます
くれい響

この夏の“『アルプススタンド』枠”は決まった!

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

未来からやってきたタイムトラベラーをめぐるSFを軸にしながら、そこに重きを置かないジャンルを超えた面白さ。ファスト映画など、昨今の映画の危機にも突っ込んだ鋭いメッセージ。そして、なにより「打倒キラキラ映画」を掲げ、本格時代劇を撮ろうと、躍動感溢れる芝居を魅せる伊藤万理華ら、「映像研」的3人娘の存在感。アメリカの青春映画的な正しい体育館の使い方もありつつ、タイトルから醸し出される『サマータイムマシン・ブルース』感もある。とはいえ、恥ずかしいほどの清々しさといい、全員主人公といえる愛おしさといい、エモすぎるラストシーンといい、今夏における“『アルプススタンドのはしの方』枠”は、これに決まりだ。

この短評にはネタバレを含んでいます
森 直人

「映画」を守る我らマイノリティたち

森 直人 評価: ★★★★★ ★★★★★

劇団ロロ・三浦直之(脚本)の監督作『ダンスナンバー 時をかける少女』(MOOSIC LAB 2013)のアップグレード版!? 監督・松本壮史、主演・伊藤万理華という『ガールはフレンド』トリオによる破格の傑作。『ションベンライダー』風のネームを持つ映研の日陰組女子3人が文化祭に向け時代劇をiPhoneで撮り始める。SFも絡むジャンルミックスな離れワザの作劇を良質の枠組みに見事落とし込む。

『サマータイムマシンブルース』等も連想させつつ、「ファスト映画」問題を予見したような鋭さから踏み込んで、超エモーショナルな山場へ。また劇中キラキラ映画『大好きってしかいえねーじゃん』のエンドクレジットが爆笑!

この短評にはネタバレを含んでいます
ADVERTISEMENT

人気の記事

ADVERTISEMENT

話題の動画

ADVERTISEMENT

最新の映画短評

ADVERTISEMENT