スタート地点にすら立てない人を社会はどう救うべきなのか

これまでに何度も繰り返し臭い飯を食ってきた中年ヤクザが、今度こそは真っ当に生きようと地道に更生を目指すものの、しかしそんな彼の前に様々な障害が立ちふさがる。それは、一度レールを外れてしまった人間のセカンド・チャンスを許さない日本の社会システムであり、はたまたドロップ・アウトした者へ向けられる排他的な偏見の目でもある。そもそも、恵まれない境遇に生まれ育った者には、生きるための知恵や常識を学ぶことも難しい。様々な事情でスタート地点にすら立てない人間を、社会はどのように見守り支えるべきなのか。ますます格差が広がり貧しくなる日本の、現在と未来を考える上でも見逃せない作品だ。