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ステージ・マザー (2020):映画短評

ステージ・マザー (2020)

2021年2月26日公開 93分

ステージ・マザー
(C) 2019 Stage Mother, LLC All Rights Reserved.

ライター4人の平均評価: ★★★★★ ★★★★★ 3.5

くれい響

哀しみを胸に、肝っ玉母さん奮闘記

くれい響 評価: ★★★★★ ★★★★★

かなり直球なベタ展開であり、ヘヴィすぎる問題を扱いながら、いろいろ詰めが甘く見えてしまう“ゲイバー版『ヘンダーソン夫人の贈り物』”。とはいえ、主人公のパワフルな肝っ玉母さんを演じるのが、ジャッキー・ウィーヴァー。『アニマル・キングダム』での女家長のイメージが強すぎるベテランだけに、なかなかのパワーワードを発する息子に先立たれた母を、圧倒的な存在感で好演。しっかり物語を引っ張ってくれる。シングルマザーを演じる金髪姿のルーシー・リューもいいスパイスになっているほか、ボニー・タイラーの「愛のかげり」の使い方も泣かせるラストのパフォーマンスまで、93分でまとめた点は評価したい。

この短評にはネタバレを含んでいます
なかざわひでゆき

息子の生き方に学ぶことで古い呪縛から解放される母親の物語

なかざわひでゆき 評価: ★★★★★ ★★★★★

 カミングアウトが原因で絶縁していた一人息子が急死し、葬儀のためサンフランシスコを訪れた母親が、息子の経営していたゲイ・バーの立て直しに乗り出す。LGBTQをテーマにした作品ではあるものの、しかしそれ以上に女性映画として秀逸。保守的なテキサスの田舎町で教会と夫の言うことに従ってきた初老の女性が、自分らしく誇り高く生きることを選んだ息子の足跡を辿って理解することで、長年自らを縛ってきた良妻賢母の呪いからようやく解放される。と同時に、マイノリティゆえに様々な問題を抱えた息子の友人たちを、人生の先輩として優しく教え導きながら、彼女自身もまた視野を広げて成長していく。とても素敵な映画だ。

この短評にはネタバレを含んでいます
山縣みどり

寛容な心があれば世界はどんどん広がる

山縣みどり 評価: ★★★★★ ★★★★★

敬虔なクリスチャンである保守的なテキサス人がサンフランシスコのカストロ通りでゲイ・バーを経営することに!? ヒトラーがシナゴーグに通うくらいにあり得なさそうな設定に母子愛や女性の自立を絡め、心温まる物語に仕上げている。ゲイというだけで息子を突き放した罪悪感に苛まされていたものの、LGBTQ +の世界を徐々に受け入れることで、今まで知らなかった自分の側面に気づくヒロインをJ・ウィーヴァーがユーモラスに熱演。『タンジェリン』の好演が印象的だったマイア・テイラーをはじめとするトランスジェンダー役者によるパフォーマンスも楽しめるし、LGBTQ +の世界入門としてもとっつきやすいはず。

この短評にはネタバレを含んでいます
猿渡 由紀

愛の強さを語り、多様性を祝福する

猿渡 由紀 評価: ★★★★★ ★★★★★

サンフランシスコのドラァグクラブのオーナーが急死し、テキサスに住む保守的な母親が相続するはめになるという設定からだいたい想像できるとおりの展開。所々にちょっと都合が良いなと感じる部分もなくはないが、全編を通して温かさに満ちている。とりわけ後半は、母がわが子に対してもつ愛の強さに感動させられた。ひとつの生き方をしてきた女性が、高齢になってから広い世界を知って心を開いていくというのもポジティブ。音楽とパフォーマンスがたっぷりあるのも楽しい。見終わった後に明るい気持ちになれる、多様性を祝福する物語だ。

この短評にはネタバレを含んでいます
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