社会的なことにも触れるB級ホラー

ストレートの長い黒髪が出てくる怖い話は、日本人ならば馴染みのあるところ。今作はそれを80年代のL.A.に住む黒人女性でやってみせる。もちろん、普通、黒人女性の髪はストレートではない。だが、テレビ局に勤める女性の主人公は、出世するため、高いお金を払って、一般的基準で「美しい」とされる髪を手に入れるのだ。日本でも髪は女の命と言われるように、国境や世代を超えて女性と髪の関係は深いが、とりわけ黒人女性においては根強い問題で、最近でもしばしば語られてきている。男女差別や職場における不適切な関係などの事柄にも触れるが、社会問題とホラーを最高な形で融合して見せた「ゲット・アウト」にはなりきれなかった。