韓国現代史の暗部を大胆に暴く傑作

現職の大統領がその腹心によって殺されるという、衝撃的な朴正煕大統領暗殺事件の真相に迫る韓流実録サスペンス。首謀者である中央情報部(KCIA)部長のモデルとなった金載圭に対する評価が分かれるためか、あくまでも実話をもとにしたフィクションという体裁を取っているものの、自国の現代史の暗部を忖度なしに暴いていく大胆さはまさに韓国映画の独壇場と言えよう。革命の初心を忘れた猜疑心の強い独裁者と、その暴走に歯止めをかけんとするあまり最後の手段へと追い詰められていくナンバー・ツー。長期に渡れば渡るほど権力は必ず腐敗するという歴史の教訓と共に、愛国心とは権力者に忠誠を誓うことではないことも改めて知らしめる。