消えゆくものへの哀愁、そして今の社会との偶然にも強烈なリンク

2021年1月21日 斉藤 博昭 ヤクザと家族 The Family ★★★★★ ★★★★★

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • ツイート
  • シェア
ヤクザと家族 The Family

イケイケの血気盛んな時代に始まり、経験も重ねる円熟期、そしてシビアな現実と向き合う切実な終末期と、20年間を3パートで描く構成が、主人公と時代の関係を鮮やかに表出。綾野剛による20年の変化も驚くほど的確だが、3つの時代のムードを分ける演出や撮影が効果的で、若き俊英監督の堂々たる仕事っぷりに感心しきり。

「反社」として世の中から疎まれるヤクザの世界に、濃すぎる家族関係を重ね、誰もが不覚に抱く一抹の憧れを全編に漂わせつつ、当事者以外に向けられる不当な差別や偏見が冷静に突きつけられるので、2021年のコロナ禍の社会と重ねずにはいられない。監督の意図しなかった部分でも、時代に寄り添う感覚が生まれた。

斉藤 博昭

斉藤 博昭

略歴:1963年神奈川県藤沢市生まれ。高校時代は映画研究部に所属。1997年よりフリーランスのライターとして映画誌、女性誌、情報誌、劇場パンフレット、映画サイトなどさまざまな媒体に映画レビュー、インタビュー記事を寄稿。得意ジャンルはアクション、ミュージカル。最も影響を受けているのはイギリス作品です。Yahoo!ニュースでコラムを随時更新中。

近況:例の接待問題で軽く話題になっている、洋画専門チャンネル「ザ・シネマ」で、4月に何回か放映される「ザ・シネマ レコメン道場」という新番組に出演しています。

サイト: https://news.yahoo.co.jp/byline/saitohiroaki/

斉藤 博昭さんの最近の映画短評

もっと見る

[PR]