ビョンホンの落ち着き装った表情、日本の政治家ともダブって怖い

フィクション部分も多いとはいえ、韓国大統領が、側近の情報部部長に暗殺された元ネタの衝撃度が、全編を不気味にいろどっている。中央情報部=KCIAの国外での暗躍は、異様な不安感が漂うなか、時に冷酷無比な手段も織り込まれ、スパイ映画の醍醐味。大統領のセリフに日本語が混じり、日本の雑誌が出てくるし、さらに日本の関与を想像させる描写がさりげなく忍ばされたりと、時代や国を超えて事件を身近に感じさせるスリルも備える。
イ・ビョンホンは終始、感情をあらわにしない分、見せ場での爆発力が半端ない。多くの国の政治家や側近が、外部には本心を絶対にみせてはいけない「常識」は、今のコロナ禍で観ると、より怖さが増すかも。